免税事業者が多い業界では交渉が難しく、コストアップは避けられそうにない。

(イラスト:奈良裕己)
10月1日から消費税の「インボイス制度」が始まる。およそ90日後と迫るなか、『週刊東洋経済』6月26日(月)発売号では「インボイス完全マニュアル」を特集。インボイスの基本から個人事業主の対処法、免税事業者と付き合う方法まで解説。さらに2024年から本格開始となる改正電子帳簿保存法のポイントにも触れる。(この記事は本特集内にも掲載しています)
3月のこと。物流業界の会合に出席したある会社の経理部長は、隣に座った別の企業の幹部に声を潜めながらこう聞いた。
「お宅は、インボイス対応どうすることにしました?」
その幹部は渋い表情を浮かべながら、「まだ決まってないんですよ」と答えたという。
それに対し経理部長は、「やばくないですか? 私が知っているある会社は、インボイス対策室を設置して、去年から免税事業者との交渉に当たっているらしいですよ」と応じたものの、実は自分の会社も方針が定まっておらず、先日の役員会でも「取りあえずは今までどおりで。他社の動きを見て考えよう」との結論しか出なかった。そのため他社の動きを探っていたのだ。
始まらないとわからない
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