東京電力・清水社長がリーダーシップを発揮できないワケ


 中部電力は、89年調査時は29.7%と3人に1人が東大派閥だったが、10年調査では9.1%にまで低下。代わって名大比率が36.3%で最大となった。ただ、特定の大学に偏らない役員構成であり、かつ社外役員として女性を登用するなど風通しを良くしようとする意欲が感じられる。理系出身役員が54.5%と文系を上回っていることも特徴的だ(→図表2)。つまり、他社では東電ほど1つの大学の派閥に偏っていない。文系・理系の昇進区別も見当たらず、特定の部署の比重が高いわけでもないのだ(→図表3)。

東電の清水社長は出身大学、職務経歴から見て、社内に強い基盤を持っているとは考えにくく「強いリーダー」とは言い難い。そもそも、02年に辞任した南直哉元社長は柏崎刈羽原子力発電所のデータ改ざんを隠ぺいしたことが発覚しての辞任だった。それを受けて現在指揮を取っている勝俣恒久会長が02年に社長に就任。さらに柏崎刈羽原子力発電所の運転再開のめどが立たないなかで08年6月に勝俣会長も社長を退任、清水現社長が引き継いだ経緯がある。

東電トップは3代続けて地震と原発問題に翻弄され続けている。トップがリーダーシップを発揮することが難しいばかりでなく、一刻を争う非常時の対応がまずいという弱点も改善されないままだ。東電にとっては企業体質の改善もまた、大きな課題だ。
(『役員四季報』編集部・山本亜由子、撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

■図表1

■図表2 東電の東大偏重は10電力のなかでも目立つ

■図表3 地方電力は特定大学出身者が突出しない


(注)図表2、3は『役員四季報』1989~2010年7月末時点の調査より作成。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 財新
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 映画界のキーパーソンに直撃
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT