仏「鉄道で2時間半なら飛行機NG」政策への疑問 CO2削減量はわずか、「政治的パフォーマンス」か

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縮小

エマニュエル・マクロン大統領は、禁止措置の実施を発表した際、「約束は守られた」と自画自賛した。約束とは、2020年に気候市民会議(CCC)において要求された、航空便を縮小させるという提案を実現したことを意味するが、現実的にはその提案からは程遠い内容のものだったと言わざるをえない。

Air France B777
エールフランスの旅客機(写真:kanno34/PIXTA)

CCCは当初、「鉄道によって4時間以内に移動できる、代替可能な路線のすべてのフライト」を廃止するよう求めていた。その後の2021年8月、社会が気候変動という問題に全面的に取り組むための法律である気候・レジリエンス法(Loi Climat et résilience)が公布されたが、その中の「鉄道による代替」に関しては、当初CCCで示されていた4時間から大幅に緩和され、2時間半へとすり替わっていたのだ。

「免除」規定で骨抜きに

「鉄道で2時間半の所要時間」という距離の航空便廃止は、効果としては非常に限定的で、意味のないものだという専門家らの声も上がっている。例えばパリから地中海沿いの港町であるマルセイユへの航空機での所要時間は約1時間半で、数多くの便が運行されているが、TGVでは約3時間を要するため今回の政府令に抵触せず、これまで通り運航を継続できる。もしCCCが当初示した「4時間」というルールが適用されたなら、マルセイユは間違いなく飛行禁止の枠組みに入れられていたはずだ。

TGVとOuigo
フランスは高速鉄道網が充実している。駅で並んだTGV InOUi(手前)と鉄道版LCCのOuigo(撮影:橋爪智之)

また、2時間半という数値であっても理論上は8つの航空路線、年間約1万2000回分のフライトがその対象となるはずだった。ところが、この法律を施行する政府令には前述の通り運航禁止が免除となる規定が設けられた。政府は「代替される鉄道サービスの不備」を理由に、パリとボルドー、リヨン、ナントを結ぶ路線でも、シャルル・ド・ゴール空港を発着する3路線は例外として禁止措置から免除することにした。

これは国際線などが多く発着する同空港で長距離路線との接続便を確保する狙いがあると考えられるが、シャルル・ド・ゴール空港にはフランス各都市との間を結ぶ高速新線が乗り入れ、高速列車TGVが1日に何本も発着しており、接続便を理由に免除するのは少々苦しい言い訳ではないかと感じる。

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