江頭2:50「エガちゃんねる」が大躍進を続けるワケ 壁に見えたものが"別世界へのドア"だった(後編)

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『エガちゃんねる』総合演出・ディレクターの藤野義明氏(写真:藤野氏提供)

たとえば、「笑いを作る編集」によって、笑いが増幅した一例として紹介してくれたのが、江頭がチャットGPTが考えた罰ゲームを受けるという動画だという。

「江頭さんがAIが考えた罰ゲームを受けるんですけど、その内容が街中でダンスをするというものなんです。街中でダンスをさせられてるだけなんですけど、そこを音楽とテロップで目線付けをしたり、江頭さんの気持ちだったり、みんな素通りしていく状況に『これは都会の冷たさでもあり、優しさでもある』みたいなテロップを入れたり(笑)。ちょっと笑いを足していくことでより見てもらえるような内容に仕上げています」

(動画:エガちゃんねる EGA-CHANNEL/YouTube)

今、動画制作に関わる一般の人も増えているが、どうすれば、人の心に響く映像にできるのだろうか。藤野が真っ先に挙げたのは意外にも音楽だった。

「『エガちゃんねる』と他のチャンネルではBGMが違います。音楽の効果は大きく、それで無意識に面白くなったりしているんです。BGMや効果音は全部、版権フリーのありものからダウンロードして、それぞれ何千、何万とある中から、その動画に合うものを使って、笑い、ストーリーを作っていく感じですね」

マーケティングよりも「自分の直感」

「テレビだと関わっている人が多くて、企業としても大きく、スポンサーもたくさんいて、ちょっとしたことでも『できる、できない』の判断を仰がないといけません。その点、YouTubeではやれることの幅とスピード感が全然違います。人を傷つけたり、迷惑をかけるようなことをしなければ、極論を言えば、僕と江頭さんが怒られさえすれば、腹を括って何をやってもいい。自己責任の中で、自分が正しいと思うお笑いをやるだけです」

そうして世に送り出される『エガちゃんねる』の動画だが、その人気企画といえば、「初めてシリーズ」である。普段、「食の冒険をせずに、決まったものしか食べない」という江頭に、有名飲食店のメニューを食べてもらい忖度なしでレビューしてもらうという内容で、容赦のない江頭の批評は賛否両論を呼んだ。この企画もテレビではまずありえない企画である。

(動画:エガちゃんねる EGA-CHANNEL/YouTube)

「江頭さんはマクドナルドの商品に対して『自動販売機で買ってきたのかよ!』『犬の餌じゃん!』とテレビで放送できないようなことを言っているんですよ(笑)。テレビだったら絶対できないですよね。でも、あくまでも江頭2:50個人の感想なので。そのあとにブリーフ団(S.M.L)の3人が『いや江頭さん、何言ってるんですか!』『めちゃくちゃうまいじゃないですか!』と一応フォローもしているので。そういう判断で押し切りました」

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