ここまで成田・羽田への鉄道を紹介してきたが、当然ながら空港アクセス鉄道はこれだけではない。1990年代以降、各地のアクセス鉄道整備は着々と進んだ。その歴史を簡単にたどってみよう。
国鉄で初めての空港アクセスは、1980年に開業した千歳空港駅(現・南千歳)だった。この時点ですでに、北海道と本州の行き来が航空主体であったことを示している。現在の新千歳空港駅が開業したのは新千歳空港ターミナルビルがオープンした1992年7月で、ビルの地下に直接列車が乗り入れるようになった。アクセス列車の快速「エアポート」は札幌都市圏を代表する列車の1つといえる。
新千歳空港駅開業の翌年、1993年3月に開業したのが福岡市地下鉄の福岡空港駅だ。博多駅からの所要時間は5分、繁華街の天神からも10分程度と非常に便利な空港アクセス路線である。地下鉄空港線はJR筑肥線と直通しており、JR車両も空港駅に乗り入れる。
次いで1994年に開港した関西国際空港への路線は、JR西日本と南海電鉄の2社が同時に運行を開始した。JRの特急「はるか」は野洲・京都方面から関空まで直通し、今年3月の大阪駅「うめきた」新ホーム開業によって大阪駅にも停車するようになり、より利便性が高まった。一方、難波と関空を結ぶ南海の特急「ラピート」は奇抜なデザインで注目を集め、登場から約30年を経た今も人気が高い。関西のもう1つの大空港、大阪国際空港(伊丹空港)には1997年に大阪モノレールが乗り入れた。
JR羽田アクセス線で何が変わる?
その後も空港アクセス路線整備は続く。日南線田吉駅から分岐し、宮崎空港旅客ターミナルに直接乗り入れる宮崎空港線は1996年に開業。戦後長らく鉄道がなかった沖縄県では、2003年8月に沖縄都市モノレール(ゆいレール)の那覇空港―首里間が開業した。
2005年に開港した中部国際空港へは、名古屋鉄道(名鉄)の空港アクセス列車「ミュースカイ」が最速28分で名鉄名古屋駅とを結んでいる。2007年3月には、仙台空港へのアクセス路線として第三セクターの仙台空港鉄道が開業。仙台駅から東北本線経由で直通し、快速は17分で結んでいる。
そして現在、JR東日本は2031年度の開業を目指し、羽田空港アクセス線の建設に着手するとしている。ルートは田町からの東海道貨物線(大汐線)を整備し、東京貨物ターミナルと羽田空港間5kmに新線を建設して東京―羽田空港間を約18分で結ぼうというものだ。開業すれば、羽田アクセスの新たな競争時代が到来するだろう。
全国各地の「空港アクセス鉄道」今昔
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登場時の京成スカイライナーAE車
(撮影:南正時)
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登場時の京成スカイライナーAE車
(撮影:南正時)
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新塗装になったスカイライナーAE車
(撮影:南正時)
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AE車の後継車、AE100形
(撮影:南正時)
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京成電鉄創立100周年のヘッドマークを付けた
AE100形=2009年(撮影:南正時)
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2010年に運行開始した「2代目」AE形
(撮影:南正時)
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運行開始前に行われたAE形の試乗会
(撮影:南正時)
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AE形の運転台
(撮影:南正時)
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大型の荷物置き場を備えたAE形の車内
(撮影:南正時)
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AE形の車内
(撮影:南正時)
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鉄道友の会「ブルーリボン賞」を受賞したAE形。
受賞記念の装飾を施した姿(撮影:南正時)
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成田空港アクセス線を走るスカイライナー
(撮影:南正時)
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初代「成田エクスプレス」の253系
(撮影:南正時)
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2代目「成田エクスプレス」のE259系
(撮影:南正時)
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現行の「成田エクスプレス」E259系
(撮影:南正時)
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E259系報道公開時の車内
=2009年(撮影:南正時)
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車内Wi-Fiとコンセントを備えたE259系。
報道公開では実演も行われた(撮影:南正時)
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液晶ディスプレイを採用したE259系の案内装置
(撮影:南正時)
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成田新幹線の用地(左)は今も残っている
(撮影:南正時)
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成田新幹線の用地(左)は今も残っている
(撮影:南正時)
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かつて京急空港線に存在した京急蒲田第一踏切。
羽田空港行きが通過=2003年(撮影:南正時)
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かつて京急空港線に存在した京急蒲田第一踏切。
京成の成田行きが通過=2003年(撮影:南正時)
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高架化されたほぼ同位置の現在の姿
(撮影:南正時)
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高架線を走る京急空港線の列車
(撮影:南正時)
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高架線を走る京急空港線の列車
(撮影:南正時)
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八ツ山橋を走る北総車両の羽田空港行き
(撮影:南正時)
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八ツ山橋を走る北総9100系の羽田空港行き
(撮影:南正時)
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京成のアクセス特急用新型車3100形
(撮影:南正時)
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半世紀以上羽田アクセスを担う東京モノレール
(撮影:南正時)
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富士山をバックに走る東京モノレール
(撮影:南正時)
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開業時の復刻塗装で走る東京モノレール1000形
(撮影:南正時)
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東京モノレールは景色のよさは抜群だ
(撮影:南正時)
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東京モノレールは景色のよさは抜群だ
(撮影:南正時)
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新千歳空港と札幌方面を結ぶ快速エアポート。
ヘッドマーク付きの721系(撮影:南正時)
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781系特急型電車の快速エアポート
(撮影:南正時)
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1993年に福岡空港に乗り入れた
福岡市地下鉄(撮影:南正時)
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1996年に開業したJR九州の宮崎空港線
(撮影:南正時)
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宮崎空港線に乗り入れた特急
(撮影:南正時)
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南海の空港アクセス特急「ラピート」
(撮影:南正時)
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特徴ある「ラピート」のデザイン
(撮影:南正時)
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「ラピート」のスーパーシート
(撮影:南正時)
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「ラピート」のレギュラーシート
(撮影:南正時)
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JRの関空アクセス特急「はるか」
(撮影:南正時)
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京都駅に停車する関空アクセス特急「はるか」
(撮影:南正時)
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伊丹空港へのアクセスを担う大阪モノレール
(撮影:南正時)
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伊丹空港へのアクセスを担う大阪モノレール
(撮影:南正時)
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沖縄県で戦後初の鉄道として2002年に
開業した「ゆいレール」(撮影:南正時)
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那覇空港アクセスを担う「ゆいレール」
(撮影:南正時)
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那覇空港アクセスを担う「ゆいレール」
(撮影:南正時)
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首里城をバックに走る「ゆいレール」
(撮影:南正時)
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中部国際空港アクセスを担う名鉄の
「ミュースカイ」(撮影:南正時)
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中部国際空港アクセスを担う名鉄の
「ミュースカイ」(撮影:南正時)
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中部国際空港アクセスを担う名鉄の
「ミュースカイ」(撮影:南正時)
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名鉄空港線には準急などの一般列車も乗り入れる
(撮影:南正時)
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仙台空港鉄道のSAT721系電車
(撮影:南正時)
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仙台空港鉄道はJR東北本線に直通し
仙台とを結ぶ(撮影:南正時)
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みなみ・まさとき / Masatoki Minami
1946年福井県生まれ。アニメーターの大塚康生氏の影響を受けて、蒸気機関車の撮影に魅了され、鉄道を撮り続ける。71年に独立。新聞や鉄道・旅行雑誌にて撮影・執筆を行う。
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