いまも進化する「空港アクセス鉄道」の半世紀 成田へは新幹線のほかリニア構想もあった

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成田新幹線計画が国鉄分割民営化とともに消滅した後、JR東日本は成田空港アクセス列車として1991年3月から「成田エクスプレス」(N'EX)の運行を開始した。京成の空港ターミナル乗り入れと同時で、これは先述のとおり成田新幹線用の施設や用地を活用した空港への乗り入れ路線ができたことから実現した。

N'EXはJRのネットワークを生かして新宿、横浜、大宮など首都圏各地のターミナルから発着し、京成の強力なライバルとなった。初代の253系は、分割・併結による柔軟な運転を考慮した3両ユニットの構造と、それまでの国鉄やJRの特急車両とイメージの違うデザインが目を引いた。とくに向かい合わせの固定座席は、筆者にはフランスの電車を思わせるエレガントで落ち着いた雰囲気にように感じられた。20年足らずで世代交代し、2010年以降は後継のE259系によって運行されている。

成田エクスプレス 253系
山手線の205系と並んで走る「成田エクスプレス」の253系(右)(撮影:南正時)

モノレール独占が破られた羽田アクセス

一方、長らく東京モノレールが独占していた羽田空港アクセスも、1990年代に大きく変貌した。

京急には東京モノレール開業前から空港線があったが、駅は空港ターミナルとかなり離れており実際には空港鉄道とは言えなかった。だが1993年には空港乗り入れを目指して羽田駅(現在の天空橋駅)まで延伸、1998年には空港への直接乗り入れが実現し、羽田空港駅(現在の羽田空港第1・第2ターミナル駅)が開業。アクセス路線として本格的に機能するようになった。

北総7000系 羽田行き
京急空港線が空港ターミナル地下に乗り入れる前、「羽田」(現・天空橋)行きの北総開発鉄道(当時)7000系電車(撮影:南正時)

京急蒲田駅は、地上時代は2面3線で品川・横浜方面の列車と空港線の列車をさばいていたが、2010年5月には京急蒲田―大鳥居間の上り線が高架化、さらに2012年10月には下り線も高架化され、ダイヤの制約が大幅に軽減された。箱根駅伝のコース上として有名だった踏切も姿を消し、現在は「要塞」とも言われる巨大な高架駅となっている。

成田アクセスを担う京成と羽田アクセスを担う京急は都営浅草線を介して直通しており、成田空港と羽田空港という首都圏の大空港を直通する列車があるのは特筆すべき点だろう。日中は北総線を経由して都営浅草線・京急線方面にほぼ30分毎に運転されており、成田空港駅から羽田空港第1・第2ターミナルまでの所要時間は北行が1時間36分、南行が1時間34分である。

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