「助言がスルーされる」上司に共通する致命的原因 「面倒見の良い管理職」が忘れがちな1つのこと
マネジャーが意識したいのは、必ずしも自分が言いたいタイミングではなく、相手にとって適切なタイミング、すなわち相手の受け入れ態勢が整ったタイミングで伝えることです。
相手の状況に寄り添ったコミュニケーションが、職場の心理的安全性の担保に重要な役割を果たしていることを認識していただきたいと思います。
コーチャブルなタイミングを見極める
コーチングの世界では、「コーチャブル」という言葉があります。コーチングを受ける人が、「理想の状態に近づくためにコーチのサポートを積極的に受け入れられる状態」であること、「理想の状態を目指して変わることができる状態」のことを指します。
マネジャーは、アドバイスや指摘をする前に、相手が「コーチャブルかどうか」を見極める必要があります。相手がコーチャブルな状態ではないときに、「あなたは将来どうしたいの? さあ、1on1をしよう」と先走っても、空回りしてしまいます。
人を取り巻く状況はつねに変わっていると書きましたが、マネジャーが好奇心と集中力でもってメンバーに関わっていれば、メンバーのちょっとした変化にも気づいて、コーチャブルなタイミングを察知することができるはずです。
たとえば、メンバーが悩みを抱えていそうだと思ったら、「あまり元気がないようだけど、どうしたの?」と声をかけてみて、「実は、あの件がうまくいってないんです。相談に乗ってもらえませんか?」というやり取りがあってはじめて、相手の相談に乗ることができます。相手がたどり着きたい理想の状態があって、そのためにアドバイスを本気で求めているときが、コーチャブルな状態(相手にとっての適切なタイミング)です。
相手にとって適切なタイミングで伝えてこそ、マネジャーからの指摘やアドバイスを必要不可欠な情報として受け取ってもらえます。その結果、メンバーの行動が軌道修正され、個人やチームの成果につながっていくのが理想的な状態です。
人は、適切なタイミングで適切な情報を伝えてくれる人のことを信頼し、自分にとって大事な存在だと認識するものです。相手の心の準備ができるまで待つことのできるマネジャーが、メンバーとの信頼関係を土台にして、職場の心理的安全性を高めていくことができるのです。
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