『ガリバー旅行記 (Gulliver’s Travels)』--経済には気持ちも大事《宿輪純一のシネマ経済学》

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日本人であれば、多分1回は絵本を読んでいる『ガリバー旅行記』の3D映画化である。『ガリバー旅行記』は、アイルランドのジョナサン・スウィフトが医師レミュエル・ガリバーの旅行記の形で書き、1726年に出版したとされている。元々はイギリスに対する風刺だったという。
 
 原作は4巻から成り、第1巻が小人の国、第2巻が巨人の国、第3巻は空中の国(ラピュータ)や日本も含めた国々、第4巻は馬の国の話であった。第1巻が子供用にリメークされて、一般的に読まれている。今回の映画化もこの部分である。
 
 第3巻のラピュータは宮崎駿監督にも影響を与えたようであるし、長崎にも上陸し、日本についてもかなり詳しい。第4巻では馬が地上で進化し、人間は劣化して家畜のようなヤフーとなっていた。風刺とはいえ、なかなかシニカルである。


(c)2010 Twentieth Century Fox

今回のガリバー(ジャック・ブラック)は現代に生き、ニューヨークの新聞社において社内で郵便を配る仕事をしていた。簡単に言うと、うだつの上がらない彼であるが、片思いの旅行記者のダーシー(アマンダ・ピート)から、カリブ海のバミューダ・トライアングルの現地取材の提案があり、それに乗って取材旅行に出発する。
 
 しかし、お約束どおり、バミューダ沖で嵐(渦巻き)に遭遇し、ガリバーは中世風の衣装を着た小人が暮らす「リリパット王国」に流れ着く。よく見る映像のように浜辺で縛られて目が覚め、囚人としてとらえられた彼だが、敵国の襲撃を蹴散らす(テレビCMでこのシーンが流れている)などして英雄となる。あまりは書けないが、ジャック・ブラック的な適当なウソがばれたりして苦境に陥るものの、誠意を見せて……。

ジャック・ブラックという役者は、シェイプアップしていない中年体型でわれわれを安心させ、あくまでも“役”だが、オタクで、いつもあまり努力せず、安易に大口をたたくが、何か事が起こると誠意を見せて頑張り、最終的にはハッピーになるという“なんかできそうな感じ”がする役柄が多い。


(c)2010 Twentieth Century Fox

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