上下で750ページに及ぶVR(仮想現実)技術をめぐる哲学書である。一見難解そうだが、根本にある問いはシンプルだ。「私たちは本物の世界に生きていると言い切れるのか?」。映画『マトリックス』以来定番の問いにアプローチしていく。バーチャル=偽物、リアル=本物という2項対立ではなく、そこに生まれる「リアリティ+(プラス)」の発見、探究が目指されるのだ。
意識の定義を広げ更新
「我思う、ゆえに我あり」とは西欧近代合理主義の祖・デカルトの第1原理となる命題だが、現代のAI(人工知能)研究者らの間ではどうも評判が悪い。「思う」だけでは自らが確かに存在する根拠にはならない、「我意識あり」にすべきだったと著者も言う。
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