「老化を治療」することは可能か、最前線に迫る 『AGELESS 「老いない」科学の最前線』書評

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『AGELESS(エイジレス) 「老いない」科学の最前線』アンドリュー・スティール 著
AGELESS(エイジレス) 「老いない」科学の最前線(アンドリュー・スティール 著/依田卓巳、草次真希子、田中 的 訳/NewsPicksパブリッシング/2530円/408ページ)
[著者プロフィル] Andrew Steele/計算生物学者。サイエンスコミュニケーター。1985年生まれ。英オックスフォード大学で物理学の博士号を取得したのち計算生物学者に転身。機械学習を用いてDNAを解析し、患者の診療記録から心臓発作を予測する研究に従事。

史上初の中国統一を果たした秦の始皇帝は、晩年に不老不死の薬を求め、臣下を各地に送った。唐の歴代皇帝も、不老不死の丹薬と称されるものを服用し、かえって寿命を縮めたといわれる。現代においては、米グーグルや米アマゾンの創業者が不老不死の研究に巨額を投資していることが報じられた。巨大な富と力を手に入れた者が最後に望むのは永遠の若さと命である、というのは古今東西変わらぬようだ。

だが実のところ、この分野への科学的アプローチが本当に盛んになったのは、せいぜいここ30年のことでしかない。本書は「生物老年学」の気鋭の研究者が、「老化治療」の熱気に満ちた最前線をリポートしたものだ。

「老化治療」は可能

現代の医学は、がんや脳血管疾患など、加齢に伴う病気の予防・治療を、徐々に可能にしつつある。だが、これは見方によってはひどく非効率なアプローチだ。

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