オーソドックスな啓蒙書である。日常の会話、議論、考察、論考などさまざまな知的営為の根底に潜んでいるパターンを「アリストテレスの設計図に従って分解」していく、との宣言から始まる本書は、思考の本質を解き明かそうとする試みだ。
6つのポイントを提示
多くの学問分野の基礎を築き「万学の祖」と呼ばれるアリストテレスだが、彼は普遍的な思考の技術を見いだすとともに、各分野が独自の論理構造を生むことを認識していた。例えば法学は演繹的な思考を育み、医学は帰納的な思考を重視する。「隠れた前提を探せ」とは、アリストテレスが繰り返した教えの1つだという。さまざまな学問分野のメタレベルの論理構造を感知しておくことは、議論の迷走を避けるための基本だろう。
著者は人間の知性が「諸刃の剣」であると表明したうえで、「メタ」認知の重要性を語る。さらに、演繹、帰納、類推、実体、意味、証拠という6つのポイントを提示する。
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