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したいけど、めんどくさい 日本のセックスレス現象を社会学する(パッハー・アリス 著/晃洋書房/3520円/288ページ)
[著者プロフィル] Alice L. Pacher/明治大学文学部助教。博士(人間学)。2010年、オーストリア・ウィーン大学日本学専攻卒業。20年、明治大学大学院文学研究科にて博士号取得。
セックスレス言説が持つ意味は、日本と西欧とで異なる。そう指摘する著者は、オーストリア出身の若手研究者。本書は彼女の博士論文を下敷きとする。
西欧においてセックスは、個々人とカップル間でのセクシュアルプレジャー(性的経験から得る身体的・精神的な満足や楽しみ)を含めるセクシュアルヘルス分野の研究対象とされる。一方、日本ではカップル間のセクシュアルプレジャーについて公的空間でほとんど議論されないまま、セックスレス現象だけが取り沙汰されるようになった。
セックスレスの内的要因を探る
日本家族計画協会が行った意識調査によれば、16~49歳の既婚者のセックスレス割合は2016年には47.2%に達している。その社会的要因としては、長時間労働や女性の社会進出、出産後の性行動の変化などが挙げられる。だが、こうした外的要因だけでは日本の男女のセクシュアリティーを捉えきれず、内的要因の探索が必要だという視点が本書の問題関心の核にある。
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