「消えた言葉」の向こうには辞書を編む人々の苦悩 『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』書評

✎ 1〜 ✎ 60 ✎ 61 ✎ 62 ✎ 最新
拡大
縮小
『三省堂国語辞典から 消えたことば辞典』見坊行徳、三省堂編修所 編著
三(サン)省堂国(コク)語辞典から 消えたことば辞典(見坊行徳、三省堂編修所 編著/三省堂/2090円/256ページ)
[著者プロフィル]見坊行徳(けんぼう・ゆきのり)/辞書マニア。校閲者。早稲田大学在学中に「早稲田大学辞書研究会」を結成し、副幹として『早稲田大辞書』を編纂。YouTube「辞書部屋チャンネル」で辞書の面白さを発信する。『三省堂国語辞典』の初代編集主幹、見坊豪紀の孫。

ウェビナー、香害、撮れ高、リカレント教育。昨年発売の『三省堂国語辞典』(以下三国(さんこく))第八版で初めて採録された「新語」だ。小型国語辞書は各社から出ており、同じ判型、限られたページ数の中で個性を出すべくしのぎを削っている。近年、改訂のたびに新語の数が話題になるのはその証左だろう。

「消えた」言葉だけを集めた辞書

三国の特色は「現代の日常生活で使われる」言葉を載せていること。裏を返せば、日常生活で使われなくなった言葉は、改訂のたびごとの検討で姿を消す。今回の改訂だけでも約1100語、過去の版を含めると「少なくとも1万語以上」が削除されたという。これを惜しむ声を受け、「消えた」言葉だけを集めて本書が編まれた。

次ページ新たな意味と共によみがえる言葉も
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内