38歳芸人が東大受験、見事合格を勝ち取った衝撃 元国税のさんきゅう倉田、仏語はゼロから勉強

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──難関大学の受験に挑む有名人はほかにもいましたが、合格の決め手は何だったと思いますか。

やはり勉強量だろう。2次試験の最後、フランス語が終わった瞬間に「受かった」と思った。それから結果発表までの間に「この単語の訳し方を間違えていたな」などと気づき、ダメかもと考えたりもした。

合格発表はインターネットの合格番号一覧のページを渋谷駅の書店の前で見た。それだけだと心配だったので、自分の生年月日と受験番号を入れて、名前と合格という画面が出てきたのを確認した。それを見て、「ああ、本当に受かっている」「よかった、うれしい!」という思いが湧いた。

──すでに通学していると思いますが、大学では何を学び、卒業後どう生かしますか。

4月の段階で、自分の想定より興味深い授業がたくさんある。例えば、どこの大学にも存在する数学やフランス語の授業がある一方で、東大の持つ多様な技術を用いた事業を考えたり、金融庁の人からファンダメンタル分析やインサイダー取引を学んだりする授業がある。そのような多様な学びの機会が存在すると考えるだけで毎日が楽しい。

いろんな分野をまずは広く学び、後期課程では、行動経済学と税法を深く学びたい。60歳まで芸人を続けるのはなかなか難しいと思うので、卒業後、就職という選択肢もある。

勉強すると将来の選択肢が増える

──進路選択に悩む中高生や保護者に対するアドバイスは。

自分の興味があることを調べたり楽しんだりして、「将来こういうことを学びたい」と考えるといい。僕がそうだったように、何をしていいかわからない人は、とにかく勉強して将来の選択肢を増やすのがいいだろう。

さんきゅう倉田氏
さんきゅう倉田(さんきゅう・くらた)/1985年生まれ。日本大学理工学部建築学科卒業後、2007年東京国税局に入庁。2009年同局を退職、吉本興業の養成所NSCに入学、芸人となる。2023年4月東京大学文科二類に入学。

熱心に勉強する人がいる大学に行くと、違う分野を勉強している多くの学生から話を聞くこともでき、知的好奇心が刺激される。ある程度勉強の素地があると、ほかのことを学ぶときも理解しやすいし、知識があれば根拠のある判断ができるようになる。勉強して悪いことは1つもない。

──「リスキリング」が注目されていますが、大人になって学び直すことの意義をどう考えますか。

大人になると、誰かに勉強させられることはなくなる。ストレスではなく、単純な娯楽として勉強を楽しめると思う。仕事があるから毎日長く勉強できないとか、土日ぐらいは遊びたいから勉強できないとか言うのであれば、やめてもいいのではないか。

自分の好きなものをどんどん学ぶのは大人ならではの自由。自分の能力が伸びていくのがわかると達成感や満足感が得られる。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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