東日本大震災当日から欠かさずに営業を継続したヨーカ堂石巻あけぼの店、品ぞろえ充実で市民生活改善を後押し


 こうした態勢に変化が現れたのは、震災から5日後の16日。電気が復旧した。それまでの手計算でのレジ2台から通称、「ちびレジ」と呼ぶ臨時のレジ6台に処理能力を拡大。依然、通信が遮断されていてPOSレジが使えない中で、懸命に営業を続けた。その後、通信が回復するとともに、POSレジも復活。「通常時の3000~4000人に対応できるようになった」(青山店長)。

ただ、マンパワーの確保に苦労した。従業員約200人のうち、約半数が出勤できない状態が3月26日時点でも続いていた。地震による家屋の倒壊、津波による浸水に加え、自家用車が流された人やガソリンがないため車を動かせない社員も続出。本部のバックアップでほかの店からの応援要員20~30人を受け入れることでしのいでいた。

商品の調達にも苦労した。当初は本部との連絡がつながらなかった。ただ、本部も被災地の状況を深刻に受け止め、震災3日後に「センター便」のトラックを東京都内から石巻あけぼの店に差し向けた。その際、青山店長は機転を利かす。
 
 「最初は商品が入ってきたことに喜んだが、センター便を使うことで通信手段の代替にすることができるかもしれない、というアイデアが浮かんだ。そこで、ほしい商品の品目を紙に片っ端から書き上げ、センター便の運転手に託した」(青山店長)。

「水、パン、カップ麺、コンロ、ボンベ、ウエットティッシュ、紙おむつ、電池、懐中電灯、ラジオ、携帯電話の充電器、毛布、生理用品、ペットフード、缶詰、レトルトのご飯、袋めん、クッキー、カレー、紙コップ、紙皿、割りばし、ろうそく、粉ミルク、カイロ、水を使わずに洗えるシャンプー、長靴、コンタクトレンズ洗浄液、ポリタンク、お尻ふき、バナナ、みかん、グレープフルーツ、りんご、魚肉ソーセージ、下着、トレーナー、たばこ、野菜ジュース……」。
 
 品目数は約50にのぼったという。
 
 店内の在庫分で値づけ用のシールがなくなってしまったため、急きょハンドラベラー(手押しの値づけ機)の提供も依頼した。そして、「ハンドラベラーが届いた翌日から、真っ暗な店内で懐中電灯で照らしながらひたすらラベル貼りを続けた」(青山店長)。



被災地の店舗内とは思えないほど、商品が豊富(撮影:3/26 17時前)


カレー製品や卵もたくさん取りそろえた(撮影:3/26 17時前)

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