SBI新生銀、TOBでも簡単ではない公的資金返済 少数株主との平等性を保ちつつ返済は可能か

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ところが、ここにひとつの問題が立ちふさがる。TOBに際して、SBIと政府系株主、そしてSBI新生銀との間で交わされた「公的資金の取扱いに関する契約書」だ。

契約書では、回収すべき公的資金の額を3493億円と確認。そのうえでSBI新生銀は「可能な限り早期に要回収額を返済するよう努める」としている。ただ、具体的な方法については2025年6月末までに政府系株主と具体的仕組みについて合意するとした。

「可能な限り早期」どのように

「可能な限り早期」の具体的な時期は不明だ。配当により返済するにしろ、SBI新生銀の直近2023年3月期の純利益は427億円。政府系株主に回せる配当金は数十億円程度とみられる。これでは、全てを返済するのに20年以上かかってしまい、到底「可能な限り早期」とは言えない。

実際SBIは、SBI新生銀が設置したTOBの是非を諮る特別委員会に対し、配当が公的資金の残額に達するには「相応の期間」がかかることを説明したという。結局、公的資金返済の期間が明確にならないことから、SBI新生銀の社外取締役の1人はTOB賛同決議に反対した。

「可能な限り早期」と「相応の期間」。この2つの期間の矛盾を解決しない限り、公的資金の返済は実現しない。2025年6月末という期限について、北尾社長は「返し方の道筋について合意するということであって、いついつまでに返すという話ではない」と予防線を張った。

TOB発表の翌5月15日のSBI新生銀の終値は2806円と、TOB価格の2800円を上回った。予定通りTOBが行われればこの価格で購入した株主は損をすることになる。投資家がこうした事情を見て、TOBまでにはまだ一波乱があると踏んだ可能性もある。SBIとSBI新生銀、そして政府系株主を巡る問題はまだ一筋縄ではいかないようだ。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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