「バービー人形」批判とアジア系お人形誕生の必然 「素朴な疑問」を掘り下げて洞察を獲得する技術

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さらに、髪の毛の色、目の色、目の形、顔の形を組み合わせて、「何となくアジア系」のお人形をつくるやり方から、一気に「まさにアジア系」のお人形をつくったのです。言い換えると、これまでのやり方を変えて、「新しいやり方」を取り入れたのです。

素朴な疑問をバカにしてはいけない理由

まとめますと、コリーヌの観察から次の洞察を導く(物事の本質を見極める)ことができました。

•人口動態の変化、人種構成の変化

•不調和の存在

•認識の変化

•新しいやり方の必要性

どうやら、新しい製品(この例ではお人形)がつくられた背景には、この4つの要因が大きな影響を与えていると洞察できるのです。

企業の経営戦略にしても、あなたの人生戦略にしても、戦略を立てるには自らの課題、テーマ、問題意識が欠かせません。ただ経験して観察しただけでは、そうしたものは生まれません。必要なのは、経験や観察から本質を見極める、言い換えると洞察を導くことです。

筆者が教える専門職大学院のクラスで大学院生から、「一体、洞察するとはどういうことなのでしょうか?」という質問をよく受けます。アメリカンガールのコリーヌの例のように、一見たわいもないように見える、素朴な疑問の答えを掘り下げることに尽きると考えています。

山脇 秀樹 ピーター・F・ドラッカー経営大学院教授

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やまわき ひでき

慶應義塾大学経済学部卒業、同大学大学院経済学修士課程修了。1982年にハーバード大学経済学博士号取得(Ph.D.)。1982年より旧西ドイツ国立ベルリン社会科学研究所上級研究員、1990年よりベルギーのルヴァーン大学経済学部教授。1995年よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アンダーソン・マネジメントスクール客員教授を併任し、2000年よりカリフォルニア州クレアモントにあるピーター・F・ドラッカー経営大学院教授。2006年度より同校副学長、2009~2012年度に学長を務める。欧米のビジネススクールにおける初の日本人学長。

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