糸井重里「僕が不登校について思っていること」 大事なのは「今をどうおもしろがれるか」

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糸井重里さん(撮影:矢部朱希子)

これはよく話すのですが、明石家さんまさんがまだお弟子さんの時代、師匠のところで住み込みで働いていたころ、掃除をしていたら師匠が来て、「さんま、掃除はおもろいか」と。

さんまさんも正直だから、「おもしろくありません」と言ったそうなんですね。すると師匠が、「そやろうな。おもろうするんや」と。つまり、おもしろくない掃除をどうやったらおもしろくできるかと考えるのが落語家だよ、ということなんです。やっぱり、だいたいのことは最初からおもしろいわけじゃないんですよ。自分でおもしろくしていかないといけない。

萩本欽一さんも、不本意な仕事しかやってこなかったという言い方をしていました。どの仕事も、「これは無理だ」、「そんなんじゃおもしろくない」、そのようなものばかりを頼まれてきたと。けれども、それをどのようにおもしろくするかというところに、やはり自分のやりたいことがあった。だから、どの仕事も最初はおもしろくなかったし、満足できたことは何もなかったと言っていました。

「不登校その後」どう生きるか

――どうすればおもしろがることができるのでしょう。僕は自分の「不登校その後」の人生をおもしろく生きたいんです。何かコツはありますか。

コツで言えたら、とっくにみんながおもしろくなれているでしょうね。コツは自分で探さなきゃ。ただ、おもしろがるための前提条件として、自分を知っておくことが大事かもしれないですね。どのようなときに自分はうれしいのか、どんなときに自分は悲しいのかを自分に聞いてみるといい。「今、イヤだった?」と自分に聞いて「何がイヤだった? こういうのならいいのか?」なんて。そうすると、自分がわかってきます。

そのうえで、僕にとってのおもしろがるコツはなんだろうと考えてみる。一見すると遠いところにあるのかもしれない。たとえば、体が健康であるとかね。胃がムカムカするときに、おもしろいことをやりたいと思わないですよね。

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