テレ東の新人局員が叩き込まれる「制作の真髄」 低予算だからこそロケで局員を徹底的に鍛える

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「面白くない」とやり直しを命じられ、何度も何度も追加撮影をさせられて、ようやく先輩たちのOKが出ます。そして編集も徹底的に叩き込まれます。

こうして、制作会社のベテランからノウハウを吸収した若手の局員たちはいずれプロデューサーになります。彼らは、いつの間にか「ロケと現場の厳しさ」を人一倍知り抜くプロに育っているのです。

そして、そんな彼らが制作会社のスタッフたちに「鬼のダメ出し」をします。通りいっぺんの内容を撮影して帰ってきたら、容赦なく「やり直し」を命じます。他局なら「成立している」とOKしてしまいそうなものも突き返します。制作会社のスタッフのあいだでは、じつはテレ東は「金は出さないが、口はものすごく出す」とおそれられています。

たとえば、『家、ついて行ってイイですか?』では、びっくりするほど多くの「お蔵入り」が出ていますが、まったく気にしません。面白いものが撮れるまで徹底的に粘ります。

テレ東はスタッフを専門家にする

そして『YOUは何しに日本へ?』は、「いつ成田空港に行ってもスタッフがいる」ことで業界内で有名です。私も、自分の番組で海外から呼んだゲストに、知らないあいだにその番組スタッフが密着していて驚いたことがあるくらいです。

それから、テレ東はスタッフを専門家にしてしまいます。『開運!なんでも鑑定団』では、専門家の監修をあまりつけず、放送作家も雇わずに、担当ディレクターが四苦八苦しながら資料の山に埋もれて自力で解説VTRの原稿を書きます。

そうしているうちに番組スタッフは「お宝のことなら、鑑定士よりくわしい」くらいの専門家になってしまいます。それぞれの専門分野では鑑定士たちにかないませんが、「掛け軸から特撮のソフビ人形まで」なんでもわかる〝お宝のゼネラリスト〟に育っていくというわけです。「番組予算の少ない分」を「スタッフを育てる」ことでカバーするのがテレ東流なのです。

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