"個人の得意"で稼ぐ「クリエイター経済」の可能性 なぜ欧米で「ブーム」になっているのか?

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クリエイターエコノミーの源流を遡ると、おそらくブログなどのインターネットメディアに行き着くのではないかと思います。それ以前は、情報発信は4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の専売特許となっていましたが、ブログが登場したことで、個人が独自のメディアを持って自由に発信できるようになりました。

そして、数多くの読者を持つブロガーが収益化に成功する事例が見られるようになりました。ただし、かつてのブログは収益手段が広告だけであり、収益化を成功させるには相当なページビューを獲得する必要がありました。

その後、クリエイターエコノミーが本格化したのは、YouTube やInstagram などが一般に認知されるようになった2010年代以降です。スマホの普及に伴い、誰もがスマホで作ったコンテンツを、簡単にInstagram などに投稿できるようになりました。

Snapchat(スナップチャット)など、画像投稿用のSNSが人気になっているのも、まさにスマホ時代を象徴しています。スナップチャットは、投稿者が閲覧時間を1〜10秒、もしくは無制限に設定でき、投稿が自動的に削除される仕組みに特徴があります。より気軽なSNSとして10代を中心とする若者の支持を集めています。

時代とともに発信が手軽になってきたことで、クリエイターエコノミーに参入しやすくなってきたということです。

収益化という意味では、投げ銭システムの導入がクリエイターエコノミーを加速させる転換点になったといえます。投げ銭とは、動画や音声、文章などの配信者にファンがお礼のお金を投げ込めるシステムのこと。日本ではSHOWROOM(ショールーム)、台湾では17LIVE(イチナナ)といったライブ配信サービスが誕生し、配信者が投げ銭で収益を得ています。

ほかにわかりやすい例を挙げるとnote があります。note はブログと同じように文章などを投稿して発表できるメディアプラットフォームですが、無料公開と有料公開を選択できるという特徴があります。有料記事は、記事単体でも販売できますし、マガジン単位でも販売できます。

また、投稿した作品に対して、「サポート」という投げ銭機能があり、無料記事に対しても金銭を送ることができます。

NFTで注目が集まったクリエイターエコノミー

近年は、Web3.0 時代の到来に関連して、NFTを活用したクリエイターエコノミーにも注目が集まっています。Web3.0 は、ブロックチェーンを用いたコンテンツやサービスの総称であり、「分散型インターネット」などと呼ばれています。

これまでは、何かの情報を発信する場合は、特定のプラットフォームを利用するのが一般的でした。プラットフォームの管理者を中心とする中央集権型のサービスが基本となっていたわけです。

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