「ピエール マルコリーニ」はなぜ買収されたのか ライバルのゴディバ展開する会社の傘下に

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一方、マルコリーニ氏本人の考えはどうかというと、「ピエール・マルコリーニ本人とは3年前からディスカッションを重ねていて、彼自身も、VM2がベストな選択だったととても喜んでくれています」(シュシャン氏)。

理由は「ゴディバでの経験を持つ私たちVM2は、”職人”と”ビジネス”の両方を理解しているからです。シェフを尊敬し、マーケティングや店舗運営、製造現場についても知見があります。シェフのクリエーションを商品として提供し、経済的に回るシステムが作れる。私たちのバックアップによって、マルコリーニ氏はこれまで以上にチョコレートのクリエーションに集中できるでしょう」。

親会社が高級チョコレート市場をわかっている、ということは、チョコレート職人にとって安心なことなのだろう。ピエール マルコリーニ ジャパンの平田有機さんは「棲み分けはできると考えており心配はしていません。幸い、マルコリーニ本人がクリエイティブディレクターとして動いているバリューもある。サプライチェーンやシステム関連でポジティブなシナジー効果を期待しています」と話す。

「われわれはシェフをリスペクトしています。クリエイティビティとビジネスのマリアージュですね」(シュシャン氏)。両ブランドのコラボは基本的にはないが、将来的にマルコリーニ氏自身がシェフとしてゴディバのために何かクリエイトしたいことがあれば、ありうるかもしれないという。

今後は和菓子やレストランの展開も視野

VM2は、プレミアムフードのノウハウを生かし、今後グループを作る考えだ。シュシャン氏によると、ピエール マルコリーニはそのファーストステップで、今後はクオリティの高いフード、レストラン、和菓子などの展開も見据えている。

ゴディバは、3年後に創業100年。ピエール マルコリーニは、2年後に創業30周年の節目を迎える。創業に69年の差があるが、両ブランドともに、ベルギーの職人が立ち上げ、世界的に有名になった輝かしいチョコレートブランドだ。

「ピエール マルコリーニブランドの成長を加速させ、より多くのプレミアムチョコレートをアジア市場中心に世界へ届けられるよう、さらなる事業強化に取り組みます」とシュシャン氏。ベルギーチョコレートを代表する世界的なスター同士、ゴディバとマルコリーニはどんな相乗効果を生み出すのだろうか。

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市川 歩美 チョコレートジャーナリスト/ジャーナリスト

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いちかわ あゆみ / Ayumi Ichikawa

大学卒業後、民間放送局に入社、その後NHKで、長年ディレクターとして番組企画・制作に携わる。現在はチョコレートを主なテーマとするジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地などの各地を取材し、情報サイト、TV、ラジオなど多くのメディアで情報発信をしている。チョコレートの魅力を広く伝えるコーディネーターとしても活動。商品の監修や開発にもかかわる。

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