親が言いがち実は子どもを「否定」している言葉 子どもがじっとしていられないときは叱る?

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『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』©天野ひかり(著)とげとげ。(イラスト)/ディスカヴァー・トゥエンティワン

OKマンガはいかがでしたか? じっと座らせたいのに、一緒に走ってどうするの……? と思われたかもしれませんね。でもね、今、このお子さんは、走り回ることに夢中です。私から見ると、走ることに集中していて、すごい力。グングンと集中力を育てている最中に見えるのです。

実は、好きなことに没頭できた子どもは、集中力を育むことができます。

この場合は、走り回ることですが、他にも、アリに夢中になったり、紙をビリビリ破ったり、絵本の同じページを何度もずっと見ていたり、親にとってはやめてほしいことだとしても、子どもは楽しむことで、しっかり集中力を育んでいます。

多くのお母さんお父さんは、子どもがせっかく集中しているのに、途中でやめさせて、嫌がること(マンガの場合はじっと座らせること)をさせてしまいがちです。

残念ながらこれでは、集中力は育ちません。逆効果ですね。

もう少し大きくなって、机にじっと座って集中できるようになるためには、今子どもが自ら没頭することを、親が一緒に楽しんでやらせられるかどうかが、大事なのです。

思い切り楽しめた子ほど、集中力を発揮する

このときのポイントは、子どもが没頭していることを苦々しい顔で黙認しないこと。

『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

マンガの場合、走り回る子を「仕方ない……」とあきらめて放任するのではなく、ぜひ、「今、集中力を育んでるのね!」と前向きに捉え、認められるといいですね(もちろん周りの人の邪魔にならないよう気をつけて)。

先に子どもが自分のしたいこと(走り回ること)を認められて満足すると、その後はイベントにもちゃんと参加できるようになります。

集中力をしっかり育んだお子さんは、成長して、机に向かう時期になったときにすごい力を発揮します。

集中力とは、親の言うことを聞いて、じっと座っていることで育まれるのではないのですよ。

心配せずに、どうぞ一緒に楽しんでくださいね。

POINT じっとできないことを一緒に楽しむことで集中力を育てよう
NG どうしてじっと座ってられないの!
OK (今、集中力を育んでいるのね!)
天野 ひかり フリーアナウンサー、NPO法人親子コミュニケーションラボ 代表理事

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あまの ひかり / Hikari Amano

上智大学文学部卒業。テレビ愛知アナウンサー(1989~1995)。現在はフリーアナウンサーとして活躍中。フリー転向後はNHKの番組を中心に出演し、2008年3月まで教育テレビの番組『すくすく子育て』でキャスターを務める。自身の結婚、出産、育児と仕事の両立を経験したことで、子育ての重要性を認識。「NPO法人親子コミュニケーションラボ」を立ち上げる。子どもの自己肯定感を育むための親子のコミュニケーション力をのばす講座や講演を全国の自治体や幼稚園、学校、企業などで開き、今までの受講者は5万人以上。多くの父母から支持され「育児が180度変わった!」など感動の声が寄せられている

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