小田急ロマンスカーVSE、完全引退まで最後の力走 定期運行終了後も、貸し切り列車で多忙な週末

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募集要項によると、旅行代金は1人1万5800円に設定。1人で参加する場合は別料金2000円で2座席を利用することになる。参加者には300mlの地酒3本セットと弁当、500mlのミネラルウォーター2本を用意。13銘柄のうち、12銘柄を3つずつ4組に分け、参加者は好みのグループを選んで申し込む。これとは別にVSEの3・8号車にあるカウンターで、数量限定ながら四合瓶(720ml)を買うことができる。

日本酒好きだけでなく鉄道ファンにとって見逃せない「オリジナルVSEお猪口」といった特典も付けた。参加者は自前のお猪口や升、においの強くないものであればつまみも車内に持ち込むことができ、思い思いにVSEの乗り心地と神奈川の地酒を楽しめる内容になっている。

一方、飲酒を伴うツアーならでは注意事項も。申し込み用のウェブサイトでは「ご集合前に必ずお手洗いをお済ませください」など、ほかのツアーと共通の項目に加え、「飲酒によりツアーへの継続参加が難しい場合や、他のお客様にご迷惑をお掛けすると当社が判断した場合はツアーを離団いただく場合がございます。ツアー中にお楽しみいただくお酒の量等には、十分ご注意いただきますようお願いいたします」と太字で念を押した。

ロマンスカーと日本酒の相性

当日、140人の参加者と酒蔵スタッフらを乗せたVSEは、昼前に新宿駅を出発、相模大野駅近くの車両基地に入線するなどしながら、時間をかけて小田原駅まで走行した。着物姿の「2022 Miss SAKE 神奈川」の横田早紀さんや、各蔵元のハッピを羽織ったスタッフらが車内を巡回、記念撮影などで盛り上げた。小田原で折り返し、15時頃に秦野駅で解散した。

小田急電鉄観光事業開発部の曽我純司さんは「コロナ禍が収束に向かうなかで、そろそろ車内でお酒を飲める機会を設けたいと考えた」と話す。酒造組合とはコロナ禍でもオンラインで酒蔵見学をするなどのコラボをしてきた。

ロマンスカーと日本酒との組み合わせは意外に思えるかもしれないが、蔵元の多くは小田急沿線の市町に位置する。酒造組合の熊谷守事務局長は神奈川の地酒について「丹沢山系のすごくいい水を使っている。全国的に見ても精米歩合が高い蔵が多い」と特色を挙げる。

地酒をテーマにしたロマンスカーのイベント列車も前例がある。2018年10月8日、その3カ月前に定期運用を終了し、ラストラン間際の7000形「LSE」を使って開催した。LSEもまた、展望席と連接台車が特徴のロマンスカーだった。

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