4日連続不通「舎人ライナー」に何が起きたのか パンタグラフの破損や気温上昇で架線トラブル
一般的な電車は架線が車両の上にあるが、日暮里・舎人ライナーの電車線は軌道の側壁に取り付けられており、車両の横にあるパンタグラフで電気を取り込んで走行する。交通局によると、電車線は銅メッキの素材(TGT-SN)で、ステンレス製の金具類によって軌道の側面に取り付けてある。
パンタグラフ破損との関係については、「電車線の伸びを吸収する金具の固渋(可動部分が固着して動きが妨げられること)によって電車線が歪み、そこを車両が通過したことでパンタグラフが破損したと推定している」といい、これによって電車線に電力を送る変電所の遮断機が作動、停電したとの見方だ。
同日夜間の全線点検では江北駅―西新井大師西駅間の電車線に破損が確認されており、ここがパンタグラフ破損の起きた個所とみられるという。
翌11日の運休も「電車線の伸び」が要因だったが、こちらは停電ではなく点検で不具合が見つかったのが理由だ。同日13時ごろ、徒歩で点検を行っていた係員が江北駅―西新井大師西駅間で電車線がたわんでいるのを発見。これを受けて14時前に全線の運転を中止し、部品交換などを行ったうえで17時50分過ぎに運転を再開した。
一般の鉄道でも、猛暑の時期などに気温上昇でレールが伸びて歪むケースはあるが、交通局によると、日暮里・舎人ライナーで今回のような事例は過去になかったという。
再び停電、翌朝まで運転見合わせ
2日続けて電車線の伸びによるとみられるトラブルで運休が発生したのもつかの間、翌12日夜には再び停電が発生し、今回は翌朝まで運転見合わせが続く事態となった。
同日20時54分、日暮里・舎人ライナーに電力を供給する全7カ所の変電所で遮断機が作動して全線が停電。変電所に異常がないことを確認したのち、23時20分に復旧作業を開始したものの、同30分過ぎに2カ所の変電所で再び遮断機が作動して停電。同日の運転再開は困難となり、復旧は翌13日の6時過ぎに持ち越された。
当初、交通局は「変電所で不具合が発生したため停電」と発表していたが、同日夜から13日未明にかけての調査で、赤土小学校前駅に停車していた車両のパンタグラフを車体に取り付けるボルトの一部が外れているのが見つかり、これが停電を引き起こしたと推測されている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら