池上彰が読み解く「アメリカ銃社会の病弊」 なぜ市民にマシンガンが必要なのか?
テキサスは、アメリカの中でもとりわけ銃規制の緩いところです。今回、住民はどのように銃を買っているのかを銃砲店で見てきました。そこでは、店員が5歳の娘に、銃の撃ち方を教え、「銃を撃つのは楽しいかい」と半ば答えを無理強いしています。銃に対する考え方、そして撃ち方を子ども世代へと継承していく様を見せつけられました。
銃規制反対派は、よく、こう言います。「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」と。
だから小さな護身用の銃を持ちたいというならまだ、わかります。しかし、銃砲店には大きな狙撃銃も売られていて、なぜこんなに大きな銃が必要なのか疑問です。すべての人に銃の所持を認めるのは行き過ぎで、何らかの規制が必要だと痛感しました。
銃の所持には書類の提出が必要で、それをFBIがチェックすることになってはいますが、書類を書いたらその場で銃を購入できます。チェックは、いったいどれだけ有効でしょうか。
エネルギー価格下落で新たな雇用が生まれる可能性
テキサスではシェールガスの採掘現場も見てきました。環境汚染などが問題となる一方、採掘地ではシェール革命によって潤う人たちもいます。また、エネルギー価格が下落したことで、製造業のアメリカ回帰が見られています。コストの安さに引かれて中国へ出たけれどカントリーリスクや品質の問題に直面した企業が、アメリカ国内での生産を再検討しはじめているのです。こうなると、アメリカ国内では新たな雇用の可能性が生まれ、景気の回復も進むでしょう。
先日のニューヨークでの自動車ショーでは、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)が勢揃いしていました。アメリカではまた、燃費がいいとは言えないSUVが売れ始めているのです。本当に、懲りないですよね。
ドル高・円安傾向は一段と続くでしょう。そしてアメリカの独り勝ちが続くと、世界経済は不安定になるかもしれません。ただ、ドル高が進み、1ドルイコール1ユーロ、つまりパリティにまでなると、アメリカの輸出産業は不利になります。舵取りは非常に難しいところです。なお、エネルギー価格の下落は日本の輸出産業にとってもプラスですが、こうなると、日銀の黒田東彦総裁の公約ともいえる2年間で2%の物価上昇という目標の達成は遠のいていきます。
※後編は4月18日(土)に公開予定です。
(構成:片瀬京子)
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