福島第一の原発事故は日本だけの問題ではない。国際チームで早期解決を--ラインホルド・O・シュタッフ氏

こうした金属は燃料棒の熱を内側に吸収するため、外側から引き続き注水することで自然に炉内に冷却作用を起こすことができる。こうすれば、放射性物質を含んだ水が外に漏れ出すことも防げる。原子炉内へはヘリウムやアルゴンなどの圧縮ガスとともに注入すればいい。この液体金属を核燃料冷却につかう方法は旧ソ連の原子力駆動潜水艦でも利用されていた。ウクライナの科学者は液体金属の利用を日本大使館に提案したが、断られたという。

--放射線物質の拡散については、海外でも強い関心が持たれていますね。

たとえば、オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)は、国連の包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の放射線物質に関するデータを利用して、1時間ごとに日本や世界中の放射線物質量を地図上にアップデートしているほか、予想も出している。

福島第一ではチェルノブイリのような大きな爆発はなかったが、事態が長期間に渡っておりすでに放射線物質の流出量はチェルノブイリを超えたとさえいわれている。今回の事故はIAEA(国際原子力機関)が定めた原発事故の大きさを表す国際評価尺度(INES)で今のところ「レベル5」相当とされているが、現実は「7」が妥当だろう。「5」というのは一つの原子炉で事故が起こった場合で、今回は複数の原子炉で危機的な状況に陥っている。

こうした中、懸念されるのは放射性物質が食物連鎖に入り始めていることだ。フォールアウト(降下物)や雨などによるウォッシュアウトによって土や葉に放射性物質が入り込んでしまっている。こうした影響を受けた野菜などを動物や人間が食べれば内部被ばくの恐れも出てくる。ドイツはチェルノブイリからおよそ1300キロメートル離れているが、チェルノブイリ事故発生から25年たったいまでも、キノコやいのししなどでは放射線物質量を図ることが義務づけられている。ヨウ素の場合、半減期は8日間だが、セシウム137は30年と長いためだ。放射線物質を含む食物を摂取することの影響は、動物実験や広島、長崎などのデータを用いて調べているが、いまだわからないというのが現実だ。

ワールドワイドの対策チームが必要

--東電や政府などによる情報提供の仕方にも批判が集まっています。

東電は一応、毎日放射線物質の量などを出しているが、出し方がひどい。その日のデータだけでなく、その地区の放射線物質量の推移がわかるにはチャートが必要だ。政府などによるコミュニケーションの方式にも問題がある。情報量が少ないだけでなく、情報の内容もプア。そのうえ、聞いている人が疑いを持つような内容や出し方で、国民をバカだと思っているのではないか、と考えてしまうほどだ。

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