「日本株の本格的な再評価」がついに始まった バフェット氏以外にも有力ファンドが運用強化
ちなみに、世界のヘッジファンドが2022年末までに稼いだ利益の会社別ランキングが公表されたが、創業来の利益の総額(手数料控除後)では、このシタデルが659億ドル(約8兆5000億円)をあげ、初の首位に立った。運用状況が厳しかった2022年単年でも約160億ドルを稼ぎ、ヘッジファンドが1年間であげた利益としては過去最大になったといわれる。
そんなヘッジファンドの日本再進出は、日本株に対する認識の変化ではないか。ヘッジファンドなので日本市場で「売りで稼ぐ」ことを想定しているかもしれない。ただ、売りだけを狙っているという可能性は極めて低く、まずは買いから入ってくると思われる。
日本は「2023年投資信頼度3位」に躍進
世界的な経営コンサルティング会社であるA.T.カーニーの「海外直接投資信頼度ランキング」によると、今から11年前の2012年における信頼度のベスト5は中国、インド、ブラジル、アメリカ、ドイツの順だった。
だが、2023年の順位はアメリカ、カナダ、日本、ドイツ、英国の順になっている。新興国ブームから先進国の安定性に投資評価が変わっていることがわかる。
とくに日本の3位は特筆すべきことだ。なぜなら、2012年の時点の順位はなんと21位まで陥落していたからだ。アベノミクスが始まったのは事実上2013年からで、このときの海外投資ファンドは日本を見向きもしなかった時期だった。
50年以上相場を見てきた筆者に言わせれば、かつて日本株華やかなりし頃は、海外の有力ファンドは東京にこぞって事務所を構え、自前の日本株担当アナリストを抱えていたものだ。失礼ながら、彼らは英語ができるだけで分析能力もないのに、肩で風を切って兜町を闊歩していた(「兜町雀」のひがみである)。
しかし、グローバル投資における日本株の組み入れ比率が下がるに従い、ファンドは続々と撤退し始めた。まず投資資料が「日本の証券会社や調査機関のもので十分」となり、次は無用の長物となった「自前の日本株担当アナリスト」の人員整理、その次は当然のことながら「事務所そのもの閉鎖」、さらには「日本株パッシング」(気にもかけずにスルーしてしまうこと)と続いた。
したがって、シタデルが15年ぶりに日本で拠点を開くということは、大きな意味がある。
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