AIにはできない「人間ならでは」を知る4つのクイズ 知らずのうちにあなたを縛る「認知バイアス」の正体

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問1を見てみましょう。おそらく、24という答えが多いのではないかと思います。確定されている数字があって、それを超えたのだから、順位が動くものだと思いこんでしまうんですね。しかし、抜いたということは順位が入れ替わっただけなので、答えは25位になります。

問2も25秒と考えた人が多いと思いますが、違います。図にしてみると分かりやすいのですが、1階から5階までは4階分しか上がっていません。図にせずに頭のなかだけで考えると、5階分上がっているという先入観を持ってしまいます。これも認知バイアスです。1階から25階までは24階分上がっていますから、24階は4階の6倍ですから、5秒を6倍にして30秒が答えになります。

問3は当たりの数が多いほうが、確率が高く感じてしまうという錯覚を利用した問題です。10個のなかからたったひとつの当たりを引くよりも、100個のなかから9個の当たりを引くほうが当たりそうな気がしてしまうんですね。でも実際はAの方がわずかに確率が高くなります。

問4はどうでしょうか。おぼれる事故といってまっさきに思いつくのが海や川での水難事故です。なぜまっさきに思いつくかというと、おそらくニュースなどで報道されることが多いからでしょう。しかし、もっとも多いのはお風呂での事故なのです。2010年代の統計では、屋内で起こる事故が、屋外で起こる事故の約5倍もあります。多くの人が日常的に使っているものほど、たとえ確率は低くても実数は増えます。これは、人口が増えると使用者が爆発的に増えるのと同じです。

引っかかるものだということを意識しておく

『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

このように、ぼくたちは同じようなところで同じように錯覚して引っかかる傾向があります。

引っかからないようにするのは難しいのですが、引っかかるものだということを意識しておくことで、決断する前にいったん立ち止まることができます。

広告や宣伝のなかには、このような認知バイアスを利用しているものも少なくありません。本能的に即決しないことも理性のうちです。

矢萩 邦彦 「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授

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やはぎ くにひこ / Kunihiko Yahagi

大手予備校で中学受験の講師として20年勤めた後、2014年「すべての学習に教養と哲学を」をコンセプトに「探究×受験」を実践する統合型学習塾「知窓学舎」を創設。「探究型学習」の先駆者として2万人を超える生徒を直接指導してきた。現在もプレイングマネジャーとして現場に立つ。多摩大学大学院で「実践リベラルアーツ論」を受け持つほか、中学・高校でもリベラルアーツの授業を担当している。

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