起訴で支持率上昇も「トランプ再登板」が難しい訳 業務記録の改ざんなどの罪状、本人は無罪主張

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4年間のトランプ政権の混乱を経て、2020年の大統領選ではバイデン氏を擁する民主党が逆襲に打って出た。バイデン氏は民主党の中間派。上院議員とオバマ政権の副大統領という豊富な経験から、民主党支持の白人労働者などの信頼が厚かった。

トランプ政権の4年間でも白人労働者の経済状況は改善しなかったこともあって、トランプ氏支持に回った白人労働者の多くはバイデン氏の民主党支持に戻った。その結果、大統領選ではバイデン氏が勝利。トランプ氏の再選は阻まれた。

そして、2024年の大統領選に向けた動きが始まっている中、トランプ氏が起訴された。今回の口止め料事件に加え、①2021年1月6日の連邦議会乱入事件をあおった、②国家機密文書を大量に持ち出した、③ジョージア州の選挙実務担当者にトランプ氏の票を増やすよう圧力をかけた、などの疑惑が捜査されている。それぞれ、近く起訴の判断が示されそうだ。

起訴後に共和党支持者からの支持率が上昇

トランプ氏は起訴の動きに激しく反発した。

4月4日にはニューヨークの裁判所に出廷して「無実」を主張した後、フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」に戻って演説。自分は「民主党による陰謀の被害者だ」と述べた。

共和党支持者の中ではトランプ氏の支持率が上昇。世論調査会社「ユーガブ」などの調査によると、共和党支持者のうち大統領選でトランプ氏を支持するのは起訴前の44%から52%に上昇している。

トランプ支持者が起訴を批判する熱狂的な反応や世論調査の支持率の上昇などから、日本ではトランプ氏の復権や大統領選に向けた「追い風」を指摘するメディアもある。だが、事態は単純ではない。

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