ロールケーキに見出した高級チョコの新境地 「本格志向」と「日本人の嗜好」がベストマッチ
口溶けを計算したサイズのチョコレートチップを作るのも、職人による手作業だという。実際に食べてみると確かにヨーロッパのスタイルのリッチな味わいだが、ロールケーキの形が、昔からの知り合いに会ったかのような親しみを与えてくれる。
新潮流「ビーン・トゥ・バー」でさらに注目
日本ではここ数年で、カカオ豆の選別、焙煎から一貫してチョコレートを作るチョコレート専門店が注目されており、まるでワインのごとく、カカオ豆の産地や品種の個性を表現したチョコレートがトレンドだ。チョコレートの世界では昨年から「ビーン・トゥ・バー」(カカオ豆を選別・焙煎する段階からチョコレートになるまでを一貫して作り手がこだわる製造スタイル)が新潮流として注目され、高級チョコレートが人気を博している。これを受けて、チョコレートの原料である「カカオ」、ワンランク上の「味」「香り」「クオリティ」への関心が高まっている。
加えて、日本人はふんわりとしたクリームやしっとりした生地など、やわらかい食感のスイーツを好む傾向があり、昔から誰もが知っているロールケーキには安心感がある。高級チョコレート専門店のワンランク上のプレミアムなロールケーキは、チョコレートの潮流と日本人の嗜好、両方にヒットしているのだ。
今年1月にオープンした日本を代表するショコラティエ 三枝俊介氏によるチョコレート専門店「アルチザン パレ ド オール 青山店」では、3月からチョコレートのロールケーキ「ルーロー カカオ」を定番商品として販売、品切れる日が多いほどの人気となっている。同ブランドは山梨県の清里高原の工房でカカオ豆からチョコレートまでを一貫して手がける話題の専門店だ。
ほおばると口いっぱいにチョコレート味のクリームが広がり、誰もがしあわせな気持ちになることだろう。自家製チョコレートを練り込んだ、ふんわりしっとりとした生地、チョコチップが入ったたっぷりのクリームがうれしい。クリームの中のチョコレートが最もなめらかに溶ける独自の混ぜ方を考案、極上の口溶けを実現させている。
オーナーシェフでショコラティエの三枝俊介さんは「今は複雑な組み合わせのお菓子や意外な取り合わせが多く、逆にシンプルなものに立ち戻る傾向があるのではないでしょうか。ロールケーキは、生地にクリームとチョコレートを合わせたシンプルなものだからこそ、いいものがわかりやすい。また日本人は、かまなくてもよい位のやわらかなスイーツを好む傾向があります」と語る。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら