東海道新幹線の新駅弁ブランド「車窓食堂」の狙い 崎陽軒や551蓬莱に匹敵する認知度を得たい

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JRCP店舗事業部の太田雄也担当課長は、新ブランド車窓食堂を展開するにあたって、既存の駅弁自体に特段の課題があったわけではなかったと話す。

実際、東海道新幹線の堅調な輸送量に支えられ、JRCPの駅弁も売れていた。

しかしコロナ禍で、そうした「東海道新幹線の強さ」が崩れた。

駅弁の販売量が減少するなか、何ができるのか、何か課題はなかったのか――。そこでJRCP社内において出てきたのが、同社駅弁の「ブランド力の低さ」だった。

具体例についてJRCPからの説明はなかったが、思い当たる点はある。例えば、崎陽軒や551蓬莱では、「シウマイ弁当」「豚まん」といった代表的な商品が知られている以外にも、「崎陽軒の○○」「551蓬莱の○○」といった形で商品が展開され、消費者に認知されている。

しかし、JRCPの駅弁はどうか。JRCPの駅弁掛け紙には以前、白地に赤のJRCPロゴが描かれていたが、「そのマークが付いているのはJRCPの駅弁だ」と、一般的にどれぐらい認知されていただろうか。

潜在的には存在していただろうJRCP駅弁の「ブランド力」という課題が、コロナ禍で浮き彫りになったのだ。

駅弁売店で「赤富士」に注目

車窓食堂ブランドの誕生以降、JRCPが製造する駅弁は、車窓食堂のロゴを掛け紙の目立つところへ掲載している。既存の「東海道新幹線弁当」「品川貝づくし」といったJRCPが製造、販売する駅弁も車窓食堂の一員になった。

「東海道新幹線に乗るから車窓食堂の駅弁が食べたい」「車窓食堂の新商品が出ていないか」というように消費者から認知され、ブランドで指名買いされる存在になることが、車窓食堂の目指すところといえるだろう。

もちろん、東海道新幹線の「山」「海」の車窓にちなんだ二段重を出すなど、同時に駅弁としての商品力をより追求していることは先述の通りだ。車窓食堂ブランド誕生のシンボルである「2つの二段重」は、JRCPの駅弁売店でベストテンに入る売り上げという。

特徴的であること、他社との差別化を図りやすいこと、評判も良いことから、JRCPには今後、二段重を車窓食堂ブランドにおけるひとつのシンボルにしていく考えがあるそうだ。2023年度には、第1弾の「山」「海」へ追加する形で、第2弾の二段重発売計画も存在するそうだ。

さて、おもに「のぞみ」停車駅にあるJRCPの売店で車窓食堂の駅弁を探すとき、「赤富士」にも注目してほしい。

駅弁の掛け紙に描かれている車窓食堂のロゴは、独特の形状をした新幹線の窓と、そこから見える富士山を表現しており、基本カラーは青。しかし、それが赤富士になっている場合がある。

赤富士のロゴは季節限定商品などに使われるもので、いわばレアの証し。季節によっては、赤富士の駅弁がない場合もあるが、売店で探してみるのも一興だろう。

恵 知仁 鉄道ライター

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めぐみ・ともひと / Tomohito Megumi

鉄道を中心に、飛行機、船といった乗り物全般やその旅について、取材、記事執筆、写真撮影、書籍制作などを行ってう。子供のころからの鉄道好き、乗り物好きで、日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車(完乗)。2014年にウェブメディア「乗りものニュース」を創設し、約6年間、初代編集長を務めた(現在、そのメディアならびにその運営会社とは無関係)。2級小型船舶免許取得。早稲田大学第一文学部卒業。

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