商船三井タンカー襲撃のグループ、海賊法で起訴=東京地検
商船三井の運航船がアラビア海で襲撃された事件で、東京地方検察庁は4月1日、「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律」(以下、海賊法)違反の罪で海賊3人を起訴、未成人1人を家庭裁判所に送致した。ソマリア沖での海賊多発化を受けて施行された同法での起訴は初めて。
調べによると、3人の被告は日本時間3月5日午後10時15分頃、アラビア海の公海上で、自動小銃を発射しながら、航行中のバハマ船籍のタンカー「グアナバラ号」に小型ボートで近づき、同号に乗り移ったあと、船長室のドアに向けて自動小銃を発射。フィリピン人を中心とした外国籍の船員を脅した後、操舵室に押し入って操縦ハンドルを操作したとされる。が、海賊らはその後、米国海軍に制圧されて、身柄を日本に送致されて、ソマリ語の通訳を介した取り調べを受けていた。日本への身柄送致は始めてのこと。
東京地検は当初、4人を海賊目的による侵入という比較的軽い罪で逮捕したが、複数人の検察・事務官らによる現地での乗組員への取り調べを1週間ほど積み重ねた。その結果、侵入罪よりも重い罪に切り替えたが、操縦桿を握ったものの、運転に不慣れなために「操舵」には至らなかったために、海賊行為ではなく、海賊行為未遂の罪での立件に切り替えた。海賊法による逮捕もこれが始めて。
4人の海賊はいずれも生年月日不詳、国籍不詳、職業不詳で立件された。ソマリ語を解し、ソマリ語を話すものの、国籍を証明するものがなかったし、東京地検は現地での取り調べでそれを調べようともしなかった。公判請求された3人は自称23歳のマハムッド ウルグス アデッセイ容疑者と自称21歳のモハムード モハメド ジャーマ容疑者と自称28歳のアブデヌール フセイン アリ容疑者。氏名は音を拾ったもので綴りは不明、両親の氏名を聞いても一致するところがなく、どれが苗字でどれが名前なのかも分からない。家裁送りとなった容疑者Aは自称20歳だが、話のつじつまが合わないために未成年だとみなした。
4人が起訴事実を認めているか、取調べ中に黙秘を続けた者がいるか、自白をした者はいるかについて、東京地検はいずれも「言えない」としている。
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