「すき家」親会社は3万円超!外食も大幅賃上げの衝撃 賃上げに消極的な会社を見切る社員やパートも
串カツ田中ホールディングスは2022年11月分から賃金テーブルを改定し、店舗従業員の賃金を平均で3.1%増額した。2022年11月期は当初、年間32の直営店出店を計画していたが、実績は11店にとどまった。坂本壽男社長は「人手不足が出店のボトルネックだった」と振り返る。
前期は「採用してもほぼ同数の退職者が出ていた」(坂本社長)ため、計画的な新規出店が難しかったという。ただ、賃金改定の直後となる「2022年12月頃から社員数が安定して増えてきている」(同)といい、人材確保を原動力に、2023年11月期は年間26の直営店出店を狙う。
今後、外食業界での賃上げの動きはさらに広がるとみられる。「すき家」などを運営する外食最大手のゼンショーホールディングスは、2023年4月の給与改定で正社員を対象に月給を平均で3万2864円(9.5%)引き上げると発表した。このうち、ベアに相当するのは2万6718円(7.72%)で、前年より2万1352円増え、過去最高額となる。
外食最大手の大幅賃上げが業界に与えた衝撃は大きい。別の大手チェーンの担当者は「労組もなく、社員からの賃上げ圧力は感じていないが、賃上げに踏み切る日は近いだろう」と本音を漏らす。
非正規雇用者も賃上げ要求に動く
外食業界で正社員の賃上げを決める企業が増える中、アルバイトやパートなどの非正規労働者からも賃上げを求める動きが出始めている。
「この物価高騰で本当に生活が厳しい。業界でも大手の『スシロー』は先んじてアルバイトの賃上げを行うべきだ」
スシローの店舗で働く大学生アルバイト・パートらで構成される「回転寿司ユニオン」の組合員3人は、スシローの全パート・アルバイトの時給を10%以上引き上げるよう求め、自身らが所属する都内や埼玉県内などの店舗で、3月17日以降にストライキを行った。
2022年12月からスシローの運営会社、あきんどスシローに対して団体交渉を始め、2023年の2月と3月に賃上げを求めたものの、会社側は要求を拒んできたという。
組合側の要求を拒んだ理由について、あきんどスシローの親会社、FOOD&LIFE COMPANIESは「団体交渉中なので、具体的な内容は答えられない。誠心誠意対応していく」と答えるにとどまった。
組合側は、あきんどスシローからは「コロナ禍によって下がった業績はおとり広告や迷惑行為もあり、回復していないから直ちに賃上げを実施することはできない」との回答があったことを明らかにした。
こうした非正規労働者が賃上げを求める動きは、カツ丼の「かつや」など、ほかの外食チェーンにも広がる。
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