育休復帰ママに「やめスイッチ」が入る瞬間 両立の綱渡りをやめた女性たちの本音

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そんな生活が3年続いたある日、佐藤さんの「やめスイッチ」が入る。佐藤さんが不在時に娘が夫に向かってこぼした一言がきっかけだった。「お父さん、私、寂しいの」――。

「私が頑張っているのを知っていたからか、娘は私の前で弱音を吐かなくなり、夫に話していたんです。子どもにこんな思いまでさせて働く意味が見いだせなくなりました。辞めどきだったんだと思います」

もう迷いはなかった。佐藤さんは会社を辞め、娘を幼稚園に入園させた。今は、娘と過ごす時間を大切にしながら、手芸の趣味を生かして講師資格を取得。教室のオープンに向けて準備中だ。

海外出張もこなしていた加瀬さんの場合

育休復帰後も残業しながら、年2~3回の国内出張、さらには海外出張までこなしていた加瀬ふきこさん(41)。近くにある実家のサポートもあったし、自営業の夫は保育園の送迎を積極的に行っていた。

「同僚にも恵まれ、復帰後も責任ある仕事を任されてやりがいがあった。働くことが楽しかったし、どんなに忙しくても苦にならなかった」という加瀬さんだったが、復職2年後に「やめスイッチ」が入る。

仕事を終え急いで帰宅しても、子どもと食卓につくのは毎日21時近く。寝る時間は23時を超えてしまう。まだ小さい子どもの生活が不規則になることに心苦しさを感じながらも、「任された仕事はやり遂げたい」という強い気持ちでなんとか頑張ってきた。

が、そんな中、第2子を妊娠する。結果的にこのことが離職を決断する大きなきっかけとなった。

「2人目の妊娠がなければ、辞めていなかったと思います。ただ、自分の中で子どもと向き合えていないという気持ちが、見えないストレスとして限界まで溜まっていたのかもしれません。職場では私の代わりはいくらでもいるけれど、子どもにとって母親の代わりはいないと強く思うようになりました」

加瀬さんは、第2子が幼稚園に入るまでは子育てに集中し、仕事はしないと決めている。会社を辞めた直後は空虚感に襲われることもあったが「今は離職の決断を後悔していません」と言う。

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