実は現地にはない?「台湾カステラ」驚きの用途 日本ではコンビニでも販売、台湾との共通点

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【台湾の名称:日本語訳】
古早味蛋糕:昔ながらのケーキ/懐かしのケーキ 
 現烤蛋糕 :焼き立てケーキ
布丁蛋糕 :プリンケーキ

「ケーキ」というスイーツの名詞に、郷愁を誘ってみたり、状態を表現してみたり、形を想像させたりしているわけだが、どれも基本材料は、小麦粉(薄力粉)、砂糖、サラダ油、卵の4種と共通している。

店やレシピによって、配合の割合や牛乳や塩など追加材料はあるが、新美珍で作られている商品の材料も基本は同じ。材料は、料理する人のキッチンなら、どれも常備されているものだろう。

作り方は、まず卵を卵黄と卵白に分け、卵白をメレンゲになるまで泡立てる。サラダ油と薄力粉を混ぜたところに卵黄を加えて混ぜる。メレンゲに砂糖を加え、先に混ぜておいた材料を加える。全体が混ざったところで焼き型に入れ、予熱したオーブンなどで加熱して完了。

メレンゲにする手間はあるものの、パンのように発酵させる手間や時間は必要ない。お菓子のレシピの中では、比較的作りやすい部類だ。

「プリンケーキ」が焼き上がり、箱詰めする様子 (写真:筆者撮影)

材料も作り方もシンプル。台湾では1950~60年代に、よく食されたお菓子だった。ちょうど、戦後の食糧難でアメリカから安価な小麦粉を輸入するようになった時期と重なる。日本で言うなら、ホットケーキあたりだろうか。

求められた「懐かしの味」

「プリンの形に焼き上げるから『プリンケーキ』と名付けました。日本にこの形はあるんですかね?」

新美珍の2代目である黃國慶さんは1999年、兄と一緒に家業を継いだ。父が店を創業したのは1956年。そろそろ創業70年になる。

「伝統菓子を扱うだけでは続かないことは目に見えていました。それで兄と一緒に、いろんな商品を開発しました。その中で、かなり売れたのがプリンケーキだったのです」

兄は今、近隣で食パンを中心とした店を営む。店頭には兄の店で作った食パンが置かれ、今もなお、伝統的な中華菓子や地元新竹の名産も並ぶ。

「ケーキは秋から冬場の注文が特に多いんです。あとは節句やお墓参りの時期、母の日かな。普段は個人客、休みの日は他地域からのお客さんが中心で、うちのケーキは宴会や会議の手土産に用いられることが多いですね。新竹にはサイエンスパークといって大企業の多いエリアがあって、うちのお客さんがたくさんいます。だから、うちはこんな田舎でもやってこられたのです。そうそう、TSMC(台湾積体電路製造)さんもです」

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