スペイン鉄道「フランス全土で列車運行」の野望 仏規制当局は参入要望に「アンフェア」な横やり
このような参入制限は、運行する車両の規格が合わないなど正当な理由があれば納得できる。だが、Renfeが使用しているS100型車両はフランスのアルストムが製造し、車体や主要機器はSNCFのTGV-R型とほぼ同規格であるから、フランス国内を走れない理由は考えられない。さらに2011年にはフランスを含む他国への乗り入れに向けて、直流1.5kV電圧への対応や欧州標準信号システムETCSの装備などを既に完了している。
Renfeもフランスへの参入にあたって制限をかけられている点については好ましく思っていないようで、引き続きフランス国内全体へ運行可能な安全認証を取得することに取り組んでいる。不当な制限に対してはEU当局の目もあるので、トレニタリアのフランス参入と同様にいずれは認められるものと考えられる。
仏国内で3カ国4社が競争に?
いずれにせよ、前述の通りRenfeはすでにバルセロナ―リヨン間およびマドリード―マルセイユ間の運行に必要な安全認証を取得している。現在は運転士の習熟運転が継続的に行われており、トレーニングは4月中旬までに完了する予定だ。早ければ2023年6月の夏ダイヤ改正から両区間に週6便ずつ(交互に週3往復ずつ)計週12便を運行。第2段階では両区間に毎日1往復、週28便を運行する計画だ。
近い将来、Renfeがフランス全土の鉄道を運行するための安全認証を取得できたと仮定して、フランスの旅客鉄道市場はどのように動いていくのだろうか。すでに運行しているトレニタリアのほか、フランスの民間企業Le Trainも参入を表明しており、そこへRenfeが加われば4社の戦いとなる。
Renfe、SNCF、トレニタリア(航空会社エアノストラムなどとの合弁企業ILSA)はスペイン国内でも競争を繰り広げており、それぞれ価格やサービス内容に特徴がある。それは航空会社のフラッグキャリアとLCCの関係にも似ていて、Renfeはフルサービスのフラッグキャリア、SNCFは低価格のLCC、トレニタリア(ILSA)はその中間的な位置で、他にRenfeはLCCに位置するAvloという別ブランドも立ち上げ、SNCFへ対抗している。
乗客が自分の好みに応じて選択できる点は面白いが、フランス市場では各社がどのような立ち位置に収まるのかが注目される。
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