スペイン鉄道「フランス全土で列車運行」の野望 仏規制当局は参入要望に「アンフェア」な横やり

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Renfe AVE S100
スペインの高速列車「AVE」のS100型。フランスのマルセイユとリヨンまで乗り入れている(撮影:橋爪智之)
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スペイン鉄道(Renfe)は2月2日、フランス国内に子会社を設立し、同国で長期的な事業展開を図る計画が取締役会で承認されたと発表した。これによって、Renfeはヨーロッパ域内で最も利用客数が多いフランスの高速列車市場へ参入できるようになる。

Renfeはフランス国内で長期的な事業展開を図る計画について、スペイン以外の市場に進出し、品質、安全性、効率性の面で高い水準の旅客サービスを提供する「模範となる事業者」としての地位を確立するための重要な戦略の一部であると述べている。Renfeは、バルト三国やチェコなどにも参入を計画しており、こうした将来的な国際展開を視野に入れてのものと考えられる。

フランス国鉄とスペイン鉄道の複雑な事情

一方でRenfeのフランス市場への参入は、複雑な事情が絡み合っている点も見逃せない。

Renfeはこれまで、長年にわたりフランス国鉄(SNCF)と協力し、半分ずつ出資して設立した合弁会社「エリプソス」によって両国を結ぶ列車を運行してきた。ところがSNCFは「採算性が悪い」という理由で一方的に撤退を表明、2022年12月11日でエリプソスは解散した。

取り残されたRenfeはバルセロナ―リヨン間およびマドリード―マルセイユ間のサービスを再開するべく、これらの路線の運行に必要な安全認証を取得した後、1月16日から試運転を開始している。フランス国内への子会社設立も、単独での運行再開を目指す取り組みの一環だ。

SNCFは、エリプソスから撤退した理由を採算性の問題としているが、同社はスペインの旅客列車市場が自由化された後に格安高速列車「Ouigo」(ウィゴー)で同国内の列車運行に単独参入しており、Renfeと直接競合する関係になっている。こちらのほうが理由としては大きいといえよう。

AVES103, Ouigo
スペイン国内でしのぎを削るAVE(右)とSNCFのOuigo(撮影:橋爪智之)
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