ライフライン停止、迫り来る火災の中で368人の入院患者を守りきる-東日本大震災、その時、医療機関は《1》気仙沼市立病院

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--避難所で暮らす市民の健康や衛生状態は。

当院の医師によれば、避難所の衛生状態は深刻で、インフルエンザも流行り始めたといいます。また、倒壊した自宅で生活する人など、取り残されている市民も少なくない。当院の横山成邦医師を中心に、避難所で暮らすこともできない方をカバーするべく、市の保健師や看護師などを組織して、市民の自宅を回る巡回診療を始めています。市内の各地を回り、拡声器で「医療が必要な方は市立病院へ来て下さい」と呼びかけています。

--責任感の強い職員が多いようですね。

私は市役所出身。市側も市立病院の重要性を分かっています。ただ、現在の仕事に就いて感じたのは、「そもそも医療という業務の性質上、市役所と市立病院の間には距離がある」ということでした。医療は専門的知識が必要であり、病院が技術者集団によって成り立っていることもその一因と言えます。市立病院の人事権は市長にありますが、私と付属看護専門学校の事務長2人を除き、すべて病院職員はプロパー。その専門家集団が震災時に力を発揮しました。

--現在、避難所や市内での医療はどうなっていますか。

市内には、大島という孤立した島がある。ここでは住民が診療を受けるための船を自ら用意し、当院の医師が毎日その船で通っています。島を除く市内では避難所のうち17カ所に医療救護所が置かれ、医療目的の巡回バスも市内を走らせている。各戸への受診の呼びかけも続けている。厳しい中で、地域医療の再生に向けて努力を続けています。
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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