北越紀州と三菱製紙、またも"破談"の裏側 製紙「第三極」は三すくみで先行き混迷
これに続くのが、4位の大王製紙の4300億円、5位の北越紀州の2238億円、6位の三菱製紙の2074億円だ。レンゴーは別として、王子や日本製紙の業界2強に対する“第三極”となると、売上規模だけでみれば、大王、北越紀州、三菱製紙の3社が仮に合併したとして、ようやく対抗できるかどうかといったところになる。
ただし、理屈では第三極への結集が大事だとわかっていても、当事者である業界4~6位企業がそれを乗り越えるのは当然、容易ではない。
2度目の破談に「あきれている」
実は北越紀州と三菱製紙の“破談”は初めてではない。
北越紀州の前身である北越製紙は2000年7月、三菱製紙と業務・資本提携を結び、発行済み株式の1~2%を持ち合うなど関係を深めた。しかし、三菱製紙は2005年1月、中越パルプ工業(現・業界7位)と合併することで基本合意したと発表。5年にわたって築き上げてきた北越製紙との提携関係が宙に浮く格好となった。三菱製紙と中越パルプの合併は結局、4カ月後の05年5月に白紙撤回されたものの、北越製紙と三菱製紙の提携関係も、提携期間の終了(05年7月)をもって解消されてしまった。
にもかかわらず、2011年3月の東日本大震災による津波で、三菱製紙の主力・八戸工場が壊滅的な打撃を受けると、北越紀州が三菱製紙八戸工場の代替生産を引き受けた。しかも、同工場復旧後は、北越紀州で引き受けていた顧客については、そっくり三菱製紙に返したという。「三菱製紙が供給責任を果たせないときに救済してきた。それに恩義を感じていただくならともかく、なぜこのような振る舞いをされなければならないのか」と北越紀州は憤る。
今回の破談は2度目となるため、北越紀州からは「率直に言って、あきれている」「(第三極結集に当たって、もはや)三菱製紙は重要なパートナーとはいえないかもしれない」との声も聞こえてくる。となると、本命はやはり、業界4位の大王製紙だろう。
大王では2011年に創業家の元会長による子会社からの巨額借り入れ事件が発覚し、創業家の持ち株を買い取る形で北越紀州が持株比率2割強の筆頭株主に浮上。北越紀州は売上規模では大王の半分程度ながら、「小が大を飲む」形で大王を持分法適用会社とした。が、大王側ではその後、関連会社経由で北越紀州株を買い集めたり、業界8位の特種東海製紙と業務・資本提携を結ぶなど、北越紀州を牽制するかのような動きもみせている。
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