「男性版メイドカフェ」が増えている時代背景 タレント志望の男子が接客する「半熟王子」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「新型コロナはエンタメ業界にも深刻な影響を与えました。芸能タレントを志す若者の多くはアルバイトを掛け持ちしながら活動をしているので、芸能タレントとして出演機会を失ったばかりでなく、アルバイトも就業できない時期が続き、夢を諦めた者も少なくはありませんでした」(和田さん)

たしかに外出自粛や飲食店の時短営業が続いていた頃は、メジャーな芸能人でさえも仕事がなくなったという話を聞く。まだアイドルやタレントとして食べていくことのできない若者に新型コロナが与えた影響は推して知るべしだが、動画配信による広告収入や視聴者からの投げ銭という方法もある。

スイーツの皿に絵や文字を描いてくれる(写真:サンミュージック名古屋)

「もちろん、YouTube番組や映画も制作しました。が、彼らの生活を支えるだけの利益を出せませんでした。そこで、ウエイターとして働くことで生活を支え、毎日のステージ出演で芸能タレントとしてのスキルも身につけることができる場として『半熟王子』をオープンさせました。この事業は中小企業庁が実施している事業再構築補助金を活用しています」(和田さん)

メダルの獲得数で芸能界デビュー

営業時間は18時から23時まで。18:00〜19:20と19:30〜20:50、21:00〜23:00の3部の入れ替え制で料金は3000円〜。料金の中に席料と飲み放題の料金が含まれている。店で働いているアイドルやタレント志望の男性は“キャスト”と呼ばれ、毎日5、6人が出勤している。オムライスやスイーツの皿に絵を描いたり、ロシアンたこ焼きを一緒に楽しんだりと、キャストが客の前でサービスをしながら提供する“キュン”メニューも用意している。中にはパティシエとして働いた経験のあるキャストもいて、手作りのアップルパイやガトーショコラも用意している。

ここまでは、ちまたのメイドカフェなどのシステムとあまり変わらないが、店で働くキャストたちが現実に芸能界デビューをめざしていることがコンセプトゆえに、客にとってはリアル育成ゲームとして楽しめるのが最大の特徴だ。

元パティシエのキャスト手作りのアップルパイ(写真:サンミュージック名古屋)

「お客様には来店時に青色の“経験値メダル”をお渡ししています。そのメダルを“推し”のキャストに授与することができます。キャストはメダルの数に応じて王子ランクが上がり、ウエイター業務時やステージパフォーマンス時の衣装が変化していきます」(和田さん)と、まさにリアル育成ゲームである。

次ページ最上級は20万枚の「伝説王子」
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事