「レクサスRZ」初のBEV専用車に乗ってわかった力 世界のライバルに見劣りしない完成度に仕上げた

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結論から言えば、その完成度の高さは、このブランドの明るい未来を確信させるものだった。誤解を恐れず言えば、その走りは現時点でレクサスらしさの究極と呼べるところにあり、BEV化を武器にブランドの個性や特質が濃密に表現されていたのだ。

レクサスの走りのイメージと言えば、静かで快適、滑らか、上質といった言葉がまず浮かぶ。ブランドとしても近年は「すっきりとしていて、かつ奥深い走り」と、それを表現している。

静かで滑らかな走りで減速もしっとり

RZの走りの印象はまさにその言葉の通り。全長4805mmと、「NX」と「RX」の中間のサイズのクロスオーバーSUVボディは高剛性化と軽量化が図られたもので、それを土台に制振、遮音、吸音が徹底されている。

エンジンのないBEVなら自動的に静かで滑らかになるわけではなく、実は却って今まで気づかなかったノイズが耳につくようになったりしがちだが、RZはそれらを丁寧に潰していくことで「静粛感を高めた」と開発陣は言う。意味するのは単に騒音レベルが低いのではなく、静かだなと感じられる音空間づくりである。

走りっぷりも、やはり滑らかさが際立つ。加速時のパワーの出方は力強くも穏やか。テスラの出始めの頃のような面白さ、あるいは乱暴さはそこにはないが、今やユーザーは成熟しているし、何よりレクサスらしい。

新型プリウスでも使っている新型ハイドロブースターを用いたブレーキは、走行状況に応じて前後の制動力バランスを自動で変化させている。軽い制動の際にはあえてフロントを沈ませ気味にして減速感を出し、強い制動時にはリアをしっかり利かせて、車体全体をきれいに沈み込ませるといった制御により、減速すらもしっとり心地よいものにしているのだ。

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