「レクサスRZ」初のBEV専用車に乗ってわかった力 世界のライバルに見劣りしない完成度に仕上げた

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その意味ではまだ熟成が必要なのかもしれない。実際、今も違和感を消すべく開発を進めている途中だということだが、私としてはレクサスの走りの新しい世界の表現として、早期に世に問うてもいいのではとも思う。万人に受け入れられることを狙ってしまったら、面白みもスポイルされかねないのでは?

今回改めての試乗、そしてエンジニア諸氏へのインタビューで驚き、そして嬉しくなったのは電費である。実は日本仕様のWLTCモードの航続距離は500kmを超えるというのだ。昨年のプロトタイプ試乗の際には450km以上と言われていたはずだが、実際にはここまで来た。それにはリアモーターのインバーターに高効率なSICパワー半導体素子を使用した恩恵が大きいようだ。71.4kWhというバッテリー容量は今のトレンドからは少し小さめだが、それでこれだけの動力性能を持ちつつ、500kmの航続距離が実現できるなら、実にスマートである。

細かなところも抜かりない

トレンドという意味ではこのRZ、ドアトリムやシートへのバイオ素材30%を用いたウルトラスエードの採用、高触感合成皮革巻きとされたステアリングホイールなどによってレザーフリー化を進めている。こうしたところも、まさに抜かりはない。

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プロトタイプの試乗から気づけば1年近くが経った。その間に世界のライバルたちがどれだけの高い実力を持ち、新しい提案を込めたBEVを市場に投入してきたかを思うと、再会の前には正直、不安も小さくはなかった。

しかしながら改めて乗ったレクサスRZの高い完成度は、市場で十分にアピールできるものだと確信できた。クルマ単体もそうだが、レクサスはRZ投入のタイミングで「レクサス エレクトリファイド プログラム」と銘打って、BEVにとって悩みのタネである充電ネットワークの整備などについても積極的な施策を打っていく模様で、周辺環境やソフトを含めて見ても、本気度がうかがえる。

考えてみれば電動化の波はまだ始まったばかりであり、真の勝負はこれから。レクサス、戦える武器はしっかり手にできたと言えそうだ。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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