新聞、テレビ、雑誌、ネットの情報は何が違うのか メディアの癖を知るだけで情報の見え方が変わる

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メディアごとの特性
(出所)『メディアを賢く消費する「情報リテラシー」 情報洪水時代の歩き方 』(同文舘出版)

こうしたそれぞれのメディアの「癖」を知り、付き合うだけでずいぶんとニュースの消化がスムーズに進むと思う。取り上げるネタも、メディアごとに違いが出てくる。

ネットの力は今や軽視できない

テレビは事件事故の話題が多く、テレビで大きく取り上げても、新聞ではベタ記事(紙面の下部段に並べられた文章だけの記事)ということも珍しくはない。逆に新聞では大きく取り上げられている政策ネタがテレビではまったく取り上げられていないということも時にはある。新聞は役所のペーパーがあれば書けるのに対し、テレビは映像が伴わないとニュースにしにくいからだ。

また新聞は「政治面」「経済面」など、テーマごとの紙面スペースがあるが、テレビは総合編成であり、大きなニュースがあると、繰り返しアップデートしながらそのネタを中心に伝えられることになることも要因だ。

メディアを賢く消費する「情報リテラシー」 情報洪水時代の歩き方 (DO BOOKS)
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雑誌で言えば、「霞ヶ関や企業人事の裏側」的な記事は読み応えがあるものも多い。ゴシップを伴うものもあり、なかなかテレビや新聞では記事にはしにくい、雑誌ならではの深掘り記事だからだ。

ネットにはテレビ、新聞、雑誌、ラジオにはある“編集”というものが、大手検索サイトのニュースコーナーなどを除けばほぼない状態で、自由な「言論空間」である。これがネットの魅力であり、人々のテレビへの本音がわかることから、実は筆者はオンエアに立ち会いながら「5ちゃんねる」の「実況」を見ている時もある。大半は、興味本位なものや、下世話な突っ込みではあるが、時にかなり鋭い指摘もある。

制作者としては、局への投稿や電話の声以外にも、真摯に様々な視聴者の反応を見たいと思う。やはりネットの力は今や軽視できず、この数年ではネットで拡散されて話題になっている事象を、テレビニュースで取り上げるというケースも増えている。

「情報洪水」はメディアの境界や垣根も低くしている。それだけに見分けのつきにくい「癖」を知り、それぞれの強みを利用すれば、よりタフに情報を得ることができる。

大野 伸 日本テレビ放送網「news every.」前統括プロデューサー

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おおの しん / Shin Ono

早稲田大学パブリックサービス研究所研究員、早稲田塾講師、日本メディア学会会員、sweet heart project(障がい者自立支援プロジェクト)アドバイザー。1996年に日本テレビ放送網入社。報道局に配属になる。2008年から経済部デスク兼ニュース解説者として「news every.」「スッキリ」「NEWS ZERO」などでスタジオ解説、ラジオ日本の朝の番組「岩瀬惠子のスマートNEWS」での解説など。2013年に営業局へ異動。2016年より報道局にて「Oha!4 NEWS LIVE」プロデューサー、2018年12月から2022年5月まで「news every.」統括プロデューサーを務める。早稲田大学大学院政治経済学術院公共経営研究科修了(公共経営修士)。

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