SL時代も今も絶景「只見線」撮り続けた50年の記録 新緑・紅葉・雪景色、"秘境"奥会津を駆ける列車

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只見線が全通した1970年代には、会津若松―小出間を直通する急行「奥只見」がキハ58系の3連で運転されていた。また、会津川口―仙台間の直通急行「いなわしろ」も運転されていた。「いなわしろ」は只見線内ではキハ52形またはキハ23形の単行運転で、会津若松から新潟発の急行「あがの」に連結され、さらに郡山で平(現・いわき)発の急行「いわき」に併結されて仙台に向かうという、いわゆる「多層建て急行」としてユニークな存在だった。

急行「奥只見」
残雪の山並みを背景に走るキハ58系の急行「奥只見」(撮影:南正時)
急行いなわしろ
只見線内は気動車1両で運転していた急行「いなわしろ」=1974年(撮影:南正時)

「いなわしろ」は1982年、「奥只見」は1988年に廃止されたが、これらの急行列車が運転されていた時代の只見線が一番活気のあったように思うのは筆者の感傷であろうか。

只見線は2011年7月に新潟・福島豪雨が只見線沿線を襲い、只見川に架かる多くの橋梁が流出、破壊され長期の復旧工事を要した。2022年10月1日に約11年ぶりに運転が再開されたが、その過程で2017年にはJR東日本と福島県とで上下分離方式の導入による復旧で合意。会津川口―只見間は、福島県が鉄道用地や鉄道施設を保有し、JR東日本が運行を担う形になった。

只見線全線走破の旅

2022年10月の全線再開後のダイヤでは、会津若松―小出間を直通する列車は3往復ある。会津若松から小出まで全線に乗る場合は、早朝6時08分発の423Dが只見線の魅力を感じるのに適した列車であろう。

会津若松駅を発車した気動車は市内中心部を走り、西若松駅で会津鉄道と分岐すると右に大きくカーブして会津盆地を進む。地図で路線を見ると大きくU字型に迂回して会津坂下に至る。この遠回りのおかげで磐梯山や晴れた日には飯豊連峰が遠望でき、会津の風景を堪能できるのだ。

会津坂下駅には6時47分着。駅には「女白虎隊中野竹子の墓、堀部安兵衛誕生の地」と勇ましい名所案内板が紹介されている。会津坂下を出ると会津盆地を離れて山間部を進む。会津柳津駅は沿線で古くから知られた観光地で、正月の裸まいりで知られる福満虚空藏菩薩圓藏寺の門前として栄え、山門の下には只見川が深淵をのぞかせている。

福満虚空蔵菩薩 圓蔵寺
会津柳津駅から近い福満虚空藏菩薩圓藏寺(撮影:南正時)
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