フェラーリ「プロサングエ」乗ってわかった凄み 初の4ドアモデルは姿形だけでなく走りも高次元だ

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クルマに振り回されることなく、自分のペースで楽しめるクルマ。それがプロサングエのクルマづくりのコンセプトと聞いた。それも事実で、ゆったりと走れば快適そのもの。

4WDのシステムは、GTC4ルッソ(2016年発表)のシステムを改良したものという。8段ツインクラッチ変速機の4速まで4WDで、5速から上は後輪駆動になる。

エンジンより前にパワートランスファーユニット(PTU)を配置し、センターデフはもたない独自の4WDシステムは、GTC4ルッソで開発された 「4RM-S」なるもの。

プロサングエでは、 「4RM-S」がさらに進化し、プラグインハイブリッドスポーツのSF90ストラダーレの4WDシステムで開発された制御ロジックが採用されている。

「4RM-S」のメリットはなにか。

前後のトルク配分を制御することで加速時のホイール空転を最適化して、最⼤の性能とドライバビリティを実現すること、とフェラーリではしている。

フロントにはトルクベクタリング、リアにはE-Diff、さらに4WSで4つの車輪を制御して最適なヨーモーメントを作るという(写真:Ferrari SpA)

後輪操舵システムもGTC4ルッソから進化

このオンデマンド型4WDシステム(PTU)の特に重要な機能は、後輪がグリップ限界に近づいたときに前輪にトルクを送ることで低中速コーナーでの駆動力を引き上げること、と説明される。

さらにもうひとつ、プロサングエの後輪操舵システムも、GTC4ルッソから進化している。いや、進化というか、別もの。後輪を左右個別に操舵する812コンペティチオーネのシステムを搭載。

「(後輪が前輪と同じ方向を向く)同位相で1度以下、パーキングスピード(逆位相だろう)で3度ていどの操舵角」とフェラーリの技術者が教えてくれた。

プロサングエの後輪操舵システムの恩恵は、おそらくサーキットでないと十分に感じられないだろう。

室内の居心地は、かなりよい。スペース的には充分だし、ヘッドレストレイントが組み込まれた、バケットタイプのハイバックシートのホールド性は抜群。

クッションはやや硬めで、とくに後席は、レッグルームもヘッドルームも余裕があり、リムジン的に使えるだけに、もうすこしクッションがソフトでもいいかもと思った。

大きなグラスサンルーフがはめこまれていて、後席に乗ったときは、ドロミーティの岩山の威容をぞんぶんに楽しめた。

もうひとつ感心したのは、オーディオ品質の高さ。メルセデス・ベンツなどでおなじみの高級ブランド、ブルメスターがフェラーリ用に21のスピーカーを使った3Dサウンドシステムを開発した。

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