フェラーリ「プロサングエ」乗ってわかった凄み 初の4ドアモデルは姿形だけでなく走りも高次元だ

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これまで、フェラーリで音楽を存分に楽しんだ経験は私にはなかったし、フェラーリだからエンジン音を聞いていればいいか、なんて思っていた。が、「ぜひお聴きなさい」と強く勧められた。

はたして、ハードディスクにおさめられた現代のロックとソウル(ラップ含む)の音源が、きれいな音で、フロントから飛び出してきたのにびっくり。

低音もしっかり出るうえにひずみが感じられない。音が前から聞こえるのは、JBLのようにステージの音場を再現するというポリシーゆえだろうと推測。

この点でも、プロサングエはあたらしいフェラーリだ。

最高出力は533kW@7750rpmで、最大トルクは716Nm@6250rpm(写真:Ferrari SpA)

すべてがすでに売約済み

ただし……どんなにプロサングエがいいクルマでも、いまから買うことはかなりむずかしそうだ。一説によると、将来まで含めた生産計画にある車両はすべて売約済みだとか。

ドロミーティにおけるフェラーリの担当者たちとの記者会見で「買えませんよね」とオーストラリアから来たジャーナリストが挙手して質問。

フェラーリのマーケティング担当者の答えは「これは限定モデルではありません」というものだった。

私の興味は、プロサングエで新しい市場を開拓し(すでにFFやGTC4ルッソであるていど手応えはつかんでいると思うけれど)これからも同じ路線に新型車が出てくるか、というもの。

その質問にはちゃんと答えてもらえなかった。燃費がリッター5.7キロのプロサングエ。V12モデルとしては悪くないけれど、それでも、数を作ると、欧州委員会の燃費規制にひっかかりそう(罰金)。

このあと、4ドア4人乗りの市場は、フェラーリにとって重要なはずだ。燃費のいいパワートレイン搭載のモデルが登場しても不思議ではない。

ただし、プロサングエの台数比率は全生産台数の20パーセントを守るとフェラーリ。

「この手のクルマばかり売れてしまっても問題」(マーケティング担当者)という本音(?)もちらりとあるようだ。

これからも、驚くような新型車が出てきても不思議ではない。いま自動車業界は地殻変動に見舞われている時代である。プロサングエはその先触れのようにも思える。

アクティブサスペンションは車体のロール制御やうねりの大きい路面でのタイヤの接地性を確保する(写真:Ferrari SpA)
Specifications
Ferrari Purosangue
全長×全幅×全高 4973x2028x1589mm
ホイールベース 3018mm
車重 2033kg
6496cc 65度V型12気筒 4WD
出力 533kW@7750rpm
トルク 716Nm@6250rpm
変速機 8段ツインクラッチ
価格 4760万円
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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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