センサー45兆個の2040年に花開くワイヤレス給電 エイターリンクはデータをつかさどる種をまく

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岩佐:やっぱり意識しなきゃいけないのは、利益率を高くすることなので、初期にドンとお金を出していただいて、買っていただくビジネスモデルと、ある種サブスクにしていただいて、導入1カ月目から利益が出る形の2つを考えています。

なるべくキャッシュポイントとか、エンドユーザーとのタッチポイントを増やすような施策を考えながら、ビジネスモデルを構築している状況です。

考えてチャレンジした失敗は勲章

井上:最後に田邊さん、日本とアメリカの違いについて、何か際立って感じることとはありますか。

田邉:向こうのほうが失敗を恐れない、失敗が勲章のようなもの。日本だと失敗するとマイナスになっちゃう。

つまり、アメリカだと今までの失敗を生かせるんじゃないか、と失敗してきた人に投資する発想がある。でも日本の場合は、実績があるので投資するっていう逆の発想。マイナス点をいかに減らすかが日本の方式で、向こうは積み上げ方式です。

井上:エイターリンクの場合、どういう失敗はいい、どういう失敗は悪いって、ありますか? それとも失敗は何でもいいって感じですか。

田邉:失敗なら何でもいいことはないと思います。たぶん、論理的に考えてチャレンジをすることに対しては評価は高いんじゃないかなと思います。

井上:なるほど、論理性とチャレンジですね。日本の会社でも活用できそうです。それにしても「失敗があるから投資する」って言い得て妙ですね。本日はとてもエキサイティングなお話をありがとうございました。

エイターリンク 設立:2020年8月 所在地:東京都千代田区 資本金:1億120万円 社員数:36人 投資ラウンド:シリーズA~B (2023年4月時点)
井上達彦教授

 

経営学者・井上達彦の眼

エイターリンクの岩佐凌さんと田邉勇二さんには大胆な戦略がある。一言でいえば、ビルをはじめとする社会インフラに種をまくという戦略である。

目指しているのは1000億円企業ではなく、10兆円企業である。実現するには、最終的には事業領域を広げていかなければならない。

そのために、エイターリンクは、「ハードウェアをばらまく」ことを目指した。そこに組み込まれるソフトウェアは随時アップデートが可能である。サービスの性質上、顧客との関係性は継続的なものとなるのは間違いない。さまざまな業種に普及させることができれば結果は自ずとついてくる。

エイターリンクは収穫のタイミングを意識して領域を選ぶことだろう。一見すると大胆な事業展開に見えても、背後には緻密なロジックがあった。

井上達彦教授がディープテック16社を訪ね、ビジネスモデルをとことん問う連載記事はこちらから
井上 達彦 早稲田大学商学学術院教授

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いのうえ たつひこ / Tatsuhiko Inoue

1968年兵庫県生まれ。92年横浜国立大学経営学部卒業、97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了、博士(経営学)取得。広島大学社会人大学院マネジメント専攻助教授などを経て、2008年より現職。経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、ペンシルベニア大学ウォートンスクール・シニアフェロー、早稲田大学産学官研究推進センター副センター長・インキュベーション推進室長などを歴任。「起業家養成講座Ⅱ」「ビジネスモデル・デザイン」などを担当。主な著書に『ゼロからつくるビジネスモデル』(東洋経済新報社)、『模倣の経営学』『ブラックスワンの経営学』(日経BP社)などがある。

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