センサー45兆個の2040年に花開くワイヤレス給電 エイターリンクはデータをつかさどる種をまく

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岩佐:ゼネコンさんは研究開発部門を持っているので技術について対等に会話ができる。一方で、デベロッパーはそれを持っていなかったんですよね。持っているところもあるけど、強力ではなかったので、一緒に実験というか、PoCみたいなものをやろうと考えました。そしてゼネコンのお墨付きを得たうえでデベロッパーに行こうと考えたんです。

その作戦が功を奏したと思います。竹中工務店さんと実証実験して、それをプレスリリースで出したところ、デベロッパーから引き合いが来ました。またそこで実証実験やると、「あ、それいいじゃん」っていう話になって、こうトントントン拍子で進んでいった。

ゼネコンとデベロッパーとでは、どちらがエンドユーザーに近いかというとデベロッパーです。三菱地所さんをはじめ、イノベーションに積極的なみなさんに導入いただけました。

技術をソリューションに

井上:とはいえ、ワイヤレス給電そのものは技術であって、商品でもなければソリューションでもないですよね。どのようにして彼らが求める商品やサービスにしたのでしょうか。

岩佐:ビルに関するクレームによれば、不満の80パーセントが空調に起因するところだった。なぜ起きるかを調べると、センサーが各フロアに1つしかないんですよ。大きなフロアの中でセンサーが1個。しかも人がいない場所で制御しているので、不満が起きて当然です。

だから、センサーをたくさん入れていこうと考えました。しかし、これだけだと十分にアピールできません。もっと欲しいなって思ってもらいたかったので、SDGsの脈絡でビジネスできないかを考えました。

今って温度差がすごく大きい。例えば27度で設定しても、温度が上がったり下がったりしてエネルギーのロスが大きいんです。

井上:なるほど。平準化させればCO2の排出が減るというお話ですね。

岩佐:最近の実験では26%ぐらいCO2削減できました。彼らにとってはIR効果もあるし、節電効果もある。

せっかくなので、お客さんが見てもわかるような定量的なデータをとるために、三菱電機さんのお墨付きを得たうえで作りましょうとなり、実験を何度も繰り返していきながらエビデンスを作って、販売するところまで来ました。

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