「心理的安全性」を誤解している人の3つの勘違い 楽しくやさしい職場にすることは目的ではない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もうひとつ、ありがちな誤解があります。それは職場の心理的安全性を高めることを「ゴール」だと考えてしまうことです。

もちろんマネジャーにとって、職場やチームの心理的安全性を高めることは大事ですが、心理的安全性はあくまで組織の生産性を高めるための手段のひとつであり、ゴールではないということです。

想像してみてください。仮に、メンバーとの打ち合わせで言いたいことを自由に発言できて、楽しく充実した時間だったとしても、それが何ひとつ成果につながらなかったとしたらどうでしょうか。

いくら心理的安全性は高くても、成果を出せないチームは評価されません。当たり前のことですが、改めて強調しておきましょう。

マネジャーにとってのゴールは成果を出すこと

Googleの元CEO、エリック・シュミットはある講演で“glue people”という言葉を使っていました。日本語に直訳すると「接着剤のような人」です。

社交的で、みんなに好かれる組織の人気者。でも仕事では具体的な成果を出しているわけではない人、といったイメージです。

どんなにチームの雰囲気をよくして、職場の心理的安全性を高めているとしても、その人や、その人のチームの生産性が上がっておらず、実際に成果が出ていなければ、組織の中で与えられた役割を果たしていないと僕は思います。

また、“glue people”は社内で顔が広く、他部署と良好な関係を築き、調整役となっているケースもあります。こういう人は組織で重宝されそうですが、だからといって組織に必要かといえば、僕の答えはNOです。組織全体と各部署に明確なミッションや目標があり、それが共有されていれば、部署間の調整は本来必要ないからです。調整役を重宝する前に、組織の運営体制を見直すべきです。

ビジネスではもちろん、良好な人間関係が求められます。でも、それ自体はゴールや目標ではありません。そのことを肝に銘じておきたいものです。

ピョートル・フェリクス・グジバチ プロノイア・グループ株式会社代表取締役、株式会社TimeLeap取締役、連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

​Piotr Feliks Grzywacz

ポーランド出身。モルガン・スタンレーを経て、Google Japanでアジアパシフィックにおける人材育成と組織改革、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。ベストセラー『ニューエリート』(大和書房)、『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』(かんき出版)など著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事