運送大手では運賃値上げの動きが出始めたが、中小の動きはまだ鈍い。荷主企業の側にも物流費増を簡単に呑めない事情がある。
6年ぶりの運送大手の値上げは、物流業界の潮目を変えるかもしれない。口火を切ったのは宅配大手の佐川急便。同社は1月27日、宅配便の基本運賃を4月から平均で約8%値上げすると発表した。値上げは2017年以来だ。
今回の値上げは燃料などのコスト上昇に加え、下請けを含めてトラックドライバーの待遇を改善するためのものだ。業界は2024年4月にドライバーの残業規制導入を控えており、輸送サービスの品質を維持する上でも値上げは不可欠だった。
2月6日にはヤマト運輸も平均で約10%の値上げを発表して追随(詳細は『ヤマト、宅急便「6年ぶり」の値上げでも続く苦境』参照)。複数の荷主の荷物をまとめて運ぶ路線トラック大手の福山通運も運賃を10%値上げする方針を示した(個人向けは1~2%値上げ)。各社は今後、相対契約を結ぶ法人顧客と価格交渉を進め、値上げを浸透させる考えだ。
物流業界は荷主の力が強く、運賃の値上げが十分にできていないことが大きな課題だった。運送会社は長時間労働と低賃金の「負のサイクル」を抜け出せるか。
10台以下のトラック会社は6割が赤字
トラック運賃はコロナ禍前まで、ジリジリと上昇していた。2010年4月を100とした成約運賃指数(全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会の調査)は2019年4月に130にまで上がった。
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